道天好転

2017.03.07

[vol.037]

ボールに翼を与えるウィングス

TEXT : YOSHIO OSAE

ヘッド内部に秘めた進化

氷結に閉じ込められたロストボールも、気が付くと池の底へ没していました。その光景は、春の到来を告げる恒例のワンシーンなのですが、カモが飛び去った池はどことなく物足りないように見えます。

彼らのガアーッ、ガアーッという濁声は、集中力を欠くショットの邪魔ものでしたが、それが聞こえなくなると、これはこれで寂しく感じるから不思議です。そんな寂しさを吹き飛ばすかのように、ニュー黒シリーズが心をざわつかせています。

3月3日発売から試打会も行われていて、既に試打をされた方も大勢いらっしゃると思います。実際に打たれてみて、その進化を感じて頂けましたでしょうか。多分、従来モデルより打ちやすく、黒シリーズがもっと身近な存在になったと思います。

さて、道天好転では過去2回に渡ってニュー黒シリーズのドライバーとフェアウェイアームズに触れてきましたが、今回はフェアウェイウイングスに関することをお話ししたいと思います。まず従来モデルとの大きな違いは、そのラインナップ。各番手の名称も異なり、一般的な「U3(21°)・U4(24°)・U5(27°)・U6(30°)」となりました。

新たにロフト30°のU6がラインナップに加わり、その番手の表示通り、例えばU6はアイアンに換算すると6番アイアンに相当します。もし、フェアウェイウイングスのラインナップでクラブセッティングすると、アイアンは7番からです。あくまでも目安ですから、実際に試打をして、自分の飛距離に相当する番手選びをする必要はあります。

ニュー黒シリーズの話題は、ドライバーとフェアウェイアームズに集約されがちですが、実は、フェアウェイウイングスの高い完成度にも注目が集まっています。フェアウェイウイングスのデビューは、2008年の赤シリーズ。それに遅れること4年の2012年に、黒シリーズにラインナップされました。初期モデルからモデルチェンジの度に愛用していますが、その理由は、ひと言でいえば安定したショットが打てるからです。

言葉をかえれば「打ちやすい」という事になりますが、もう一点はソケットからヘッドにかけて肉厚があり、それが視覚的に頼もしく、深いラフからでも打ち負けないイメージをもてるからです。実際、夏場の強いラフからのショットにも強く助けられています。

その経験も踏まえて、改めてニュー黒のフェアウェイウイングスを手に取ると、エクステリアはソールとトップラインのカラー変更と、若干のデザイン変更が確認できますが、パワートレンチの採用は見送られました。多分、同シリーズのフォージドアイアンとの飛距離のバランスを考慮した結果なのでしょう。

また、注目したいのは従来モデルより重心アングルを小さく(U4:20.5°→18°)、そして重心距離をやや長くしています(U4:34mm→36mm)。さらにU4の慣性モーメント(シャフト軸)の数値をみると、従来モデルの4900kg・㎡→5500 kg・㎡とし、ボールのつかまり過ぎを抑えて、コントロール性を重視していることも見逃せません。手にしただけでは見抜けない進化が、ヘッド内部に秘められていました。

ショットの安定性がさらに向上

実際にU4(SMOOTH KICK MP-7171/S)を構えてみます。この時点でも、従来モデルとの大きな違いは感じられません。シャフトとヘッドの一体感を強く感じ、練習場のマットの上でしたが、ヘッドの座りも安定しています。

良くも悪しくも馴れているので、スイングもスムーズに行え、従来モデルと同様に違和感なくヒットできます。練習場のボールという点を考慮しても、弾道はやや高めに飛び出す傾向にあるようです。SMOOTH KICK MP-7171/Sとヘッドの相性は抜群で、まったく癖がなく、ヒットするタイミングをうまく伝えてくれます。

従来モデルも方向性・操作性は良いと思いますが、U4はさらに磨きがかかった感じで、ミスショット時でも方向性は安定していました。間違っても逆球は出そうになく、この点は精神的に余裕がもてます。ハイマレージング独特の弾き感は継承され、軽快な打球音と伴に弾道の伸びも感じます。やはり安定した方向性、飛距離を望むならSMOOTH KICK MP-7171を選択するべきでしょう。

いずれにしても、練習場での試打なので結論は出せませんが、確かに言えることは「ショットの安定性・操作性がさらに向上した」ということ。たとえショットの調子が悪くても、フェアウェイウイングスを握れば元の調子に戻してくれる……。クラブとの深い信頼関係を築いてくれる術を、フェアウェイウイングスは教えてくれます。

後は、初春の心地よいコースで試打するだけと意を決したところで、今回は失礼します。

yoshioosae
各出版社の創刊編集長、編集局長を歴任。ゴルフ専門誌の編集長を12年間務めた。現在は執筆とプロデュース関連で活動中。