2018.3.15

20世紀初頭に大活躍したゴルファーといえば、ボビー・ジョーンズとウォルター・へーゲン。生涯アマチュアを通したジョーンズは正確なショットで常にパーオン2パットのパー。一方、プロのへーゲンはティショットを曲げるものの、素晴らしいリカバリーショットを放ってパーを奪う。

この2人が対照的なゴルフで競り合うからゴルフファンはたまらない。ファッションもジョーンズはプレッピーの正統派、一方、へーゲンは派手な出で立ちだから、人気は二分するわけで、そこに目をつけたイベンターが2人のそれぞれのホームコースでエキジビジョンマッチを行った。

名勝負が繰り広げられるだろうと誰もが思ったが、勝ったのはへーゲン。それも1戦目は8アップ、2戦目は12アップというへーゲンの圧勝だった。その勝因は何と言ってもアプローチとパット。

ティショットを大きく曲げるへーゲン。誰もがそのホールはジョーンズのものと思うと、へーゲンは信じられないルートでグリーンに乗せ、長いパットを先にぶち込んでバーディを奪ってしまう。ジョーンズはそれに気圧されて、2パットのパー。綺麗なゴルフをしているのに、勝負はへーゲンのものとなる。仮にへーゲンのセカンドショットがグリーンに乗らなくても、アプローチとパットでパーを奪う。その勝負強さにジョーンズはボディブローを食らったボクサーのように気力が萎えてしまうのだ。

へーゲンは言ったものだ。

「3打で乗せても、1パットならパー。2パットのパーと変わらない。パーはパーだ」

まさにそれが勝負強いゴルフというものであり、へーゲンはマッチプレーにすこぶる強かった。マッチプレーならショットメーカーよりパットの名手が確実に強いのは今も昔も変わらない。

WALTER HAGEN

1882年12月21日、アメリカ・ニューヨーク州路チェスター生まれ。1969年10月5日没。愛称は「ザ・ヘイグ」。全米オープン2回、全英オープン4回、全米プロ5回優勝。全英オープンはアメリカ人として初めて優勝を成し遂げ、それまで低く見られていたプロゴルファーの地位を高めた。