2017.5.2

[Vol. 004]

パーシモン万年筆


「あら素敵に生まれ変わったじゃない!」 「そうね。お母さんの言うとおりネックレスにして正解だったわ。」

赤い石が輝くネックレスを手に妻と娘が楽しそうに話している。先日、妻が独身時代から気に入っていたルビーの指輪を娘に渡し、どうやらリフォームしてネックレスにしたようだ。「私のことは気にせず好きなようにしていいのよ。時代が変わってしまったもの。デザインも古いし、あなたの好きなようにして頂戴。この指輪も使ってもらった方が喜ぶと思うわ。」妻はそう言って娘に預けていたのだ。

娘と母親はいいものだ。思春期の頃は私が驚くほどぶつかり合っていたのに、今ではまるで友達同士のように笑いあう。遠目に見ていたら、「女同士ってすごいな」とつぶやく声が聞こえた。心の声がつい口から漏れてしまったか、と驚くと息子が横目でちらっと二人を見ながらつぶやいていた。 -まったく、本当に自分にそっくりだな。

そのとき、書斎に眠るあるモノを思い出した。「ちょっと待ってて!」と書斎へ急ぐ。
私がゴルフを始めたころ、ドライバーはその名”WOOD”のとおり、柿の木(パーシモン)で出来ていた。今でも覚えている。トゥ側から同心円状に広がる木目、滑らかな手触り ―― まるで工芸品のようで、いつまでも眺めていられたことを。当時私は完全にゴルフに夢中になっていて、高じてパーシモンのブロックまで手に入れていた。いつかは自分で削りたい、なんて夢を見ていたのだろうか。その後、ヘッドの素材もメタル、チタンへと大きく変化していくにつれ、自然とゴルフへの熱も冷めてしまい、もっぱらペイパーウェイトと化していた。それを先日友人が「勿体無い」の一言で勝手に持って帰り、なんと万年筆にしてくれたのだった。

「お前も大人になったのだから万年筆の1本くらい持っていたほうが良いだろう」妻たちに気づかれないようにそっと渡す。妻と娘を見ていたら、自分も息子に何かを託したくなってきたのだろうか。自分の青春、大切にしてきたものを。―― 嫌だな、ちょっとセンチメンタルになっているのかもしれない。

ああ、今日は久しぶりにゴルフクラブでも磨いてみようか。

製品詳細

グローブライド(旧ダイワ精工)のゴルフ事業45周年の年に相応しい商品が完成しました。かつてのパーシモンヘッドのデッドストックブロックを利用したハンドメイドの万年筆です。
そのブロックは、パーシモンドライバー全盛時代に名匠と言われた吉澤三郎氏の貴重なものをお分けいただいたものです。ダイワのパーシモンドライバーは美しさと優しさを併せ持つことが評判でした。木目の美しさと深い色味、情勢的な優雅さも兼ね備えたシェイプ。本当に優れた工芸品と言えるものでした。現在のオノフのドライバーにもそのスピリッツは受け継がれています。この素材を生かすべく製作をハンドメイド木工文具の名職人「工房 揳(セツ)」の永田氏にお願いしました。
「揳」は暮らしの中の木の創作家具や小物を制作している工房で、「クローズド・エンド揳」と言う名で自然素材を使用した削り出しの万年筆も作成しています。
わずか3本しか製作できなかった万年筆ですが、その肌触り、柔らかさ、絶妙な重量バランス、更に私たちグローブライドのゴルフにかけてきた歴史を感じていただければ幸いです。

吉澤氏の手元で大切に保管されていたパーシモンブロック。右から左にかけて段々とクラブの形状に近づいていることがわかると思います。1980年代までは、このように柿の木のブロックからウッドヘッドは削りだされていました。
多くはカナダを中心とした北米から輸入していたそうです。軽さと硬さを持ち合わせているためヘッドの材料として使われていました。
WOODと何気なく呼んでいますが、若い世代の方には、想像もつかないかもしれませんね。

本体カラーが微妙に異なるのが天然素材を使用した手作りならではの味わいです。丁寧に削りだされており、ニスなどは塗布されておりません。手にしていただければ、その柔らかさとしっかり感を持つ感触に驚かれると思います。パーシモンドライバーの打感を思い出すような感覚になるかもしれませんね。

ペン先の太さは「F(細字)」。万年筆のペン先の太さは一般的に5~7種類があります。その中で「F」は2番目の細さ。細い線がクリアに書け、きめ細やかな文字を書くことができ、ノートに使いやすい太さです。14金のペン先は日本語のひらがな、漢字に適した程よい硬さと柔らかさをもつタイプです。

インク方式は吸引式コンバータとカートリッジに対応しています。使いやすいカートリッジはヨーロッパタイプのものをご使用ください。吸引式コンバータを使用すれば様々なメーカーのインクがご使用買可能です。季節にあわせて色を変えるのも素敵ですね。

ペンケースも揳オリジナルの手作り品です。揳ではこのケースを「コンプロット」と呼んでいます。コンプロットとは、Complotto(コンプロット)はイタリア語で、秘密計画・陰謀と言う意味があります。中に入れる万年筆やメモ、それは自分だけの秘密のもの、そんな悪戯っぽい感じで命名されたそうです。
この箱は、木のパーツを組み立てる指物(さしもの)ではなく、一つの塊からくりぬき形を作る刳物(くりもの)という技法で作られていて、木目を途切らせる事無く木の存在感と重厚感を出すことに成功しています。(揳 ウェブサイトより)

揳のブログに今回のパーシモンブロックの製作過程が紹介されています。
「柿の木科ですが日本の黒柿とは違いますね。油分あり、硬さもあって粘りもありそうです。なかなか触れる素材ではないですので楽しみです。」と多くの木製万年筆を手がけてきた永田氏も今回の万年筆つくりは新しい体験として愉しんでいただけたようです。
http://www.setu.jp/

製品一覧

  • ■パーシモン製万年筆
  • 本体:パーシモン(柿)
  • ペン先:14金
  • 長さ:147mm(収納時)/約136mm(キャップを外した状態)
  • 最大胴軸径:約15mmφ
  • キャップ径:約17.5mmφ
  • 重さ:約20g
  • カラー:ブラウン
  • その他:ペン先:F
  • made in Japan
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