旅先にうまいものあり / ゴルフと旅人達。Vol.025

旅するひと = 王　理恵オウ・リエ

1970年東京都出身。タレント。福岡ソフトバンクホークス取締役会長・王貞治氏の次女。両親の闘病をきっかけに食の大切さを見直して食と健康に関する数々の資格を取得。啓蒙活動にも力を入れている。食糧欠乏国への食糧援助と天災などの被災国に対して緊急援助を行う国連WFP協会顧問。富山県入善町食育大使、あきたベジフル大使、アスリートフードマイスター3級、フードツーリズムマイスター、野菜ソムリエ、雑穀エキスパート。ゴルフ歴30年、ベストスコア83。

人生最高のモッツァレラ

苫小牧にある北海道ブルックスカントリークラブ。最寄りインターから約10分、新千歳空港から約15分とアクセス良好。奇をてらわないオーソドックススタイルのコースはアメリカの名門倶楽部の趣も。

先日、友人と北海道で2泊3日、3ラウンドしてきました。1日目が札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース、2日目は北海道クラシックゴルフクラブ、3日目は北海道ブルックスカントリークラブというスケジュールです。
初日は何とかプレーできたのですが、2日目はバケツをひっくり返したような大雨……。普段ならとてもスタートする状況ではなかったのですが、せっかく来たのだからと敢行！
でも1ホールを終えたところであえなくリタイアしました。レストランの味噌ラーメンはさすがの美味しさで冷えた体を温めてくれましたが、なんとも残念な1日になりました。
でもそのかわりに、素敵な出会いがあったんです。きっかけは初日の夜に行ったフレンチレストラン。そこで食べたチーズが本当に美味しくて、どこのものかお店の方に尋ねると、恵庭にある寺田牧場というところで作っていると教えてくれました。

その小さな牧場は恵庭のビール工場のすぐ近くにありました。レストランで食べたフレッシュモッツァレラはご主人が毎朝、工房で手づくりしています。早朝に搾る牛乳は乳脂肪分が高く、濃厚でコクのあるチーズができるのだそうです。

私もこれまでいろいろなチーズを食べてきましたが、今まで食べてきたモッツァレラとは食感からして違いました。外側のしっかりしたところがなくて、全体が同じように柔らかいんです。
美味しいものを見つけたら、まず聞いてみること、そして足を運んで直接触れること。これも旅の醍醐味だと思います。レストランでの出会いがなければ知ることがなかった絶品のモッツァレラ。今も時々取り寄せて、なめらかな舌触りとやさしいミルクの甘さを楽しんでいます。

上段・左下＝寺田牧場に併設されたかわいらしいカフェ『みるくのアトリエ』。出来たてのモッツァレラチーズや、チーズをたっぷり使ったピザは大満足の美味しさ。右下＝土砂降りの北海道クラシックにて。

父と一緒に

芥屋ゴルフ倶楽部のレストランから。玄界灘の雄大な景色と共に食事を楽しめる。コースはKBCオーガスタの開催コースだけあって手応え十分。

ゴルフは大学時代に始めました。サークルに所属し、暗いうちからゴルフ場に通ってキャディのバイトをするゴルフ漬けの毎日。3年からは荒川博先生の教えも受けました。晩年、片山晋呉プロや上田桃子プロの指導にあたられた先生は言うまでもなく、かつて父に一本足打法を伝授した方です。その師匠に私がゴルフを習う日が来るなんて、不思議なご縁としか言いようがありません。

神宮外苑の練習場で昼食をはさんで朝から夜まで、先生のレッスンは続きました。合気道6段の先生の教えは「体中に気を湧き出させて振るのみ」、「7番アイアンで140ヤード飛ばせるようになるまでは休んではならない」というものでした。
来る日も来る日も5～6時間、ひたすら打ち込むうちに私はコンスタントに140ヤード飛ばせるようになり、ドライバー飛距離も200ヤードを超えて、レギュラーからでも80台で回れるようになっていったのです。

父、主人と。父はすっかり飛距離が出なくなったと言っていますが豪打は今も健在。主人は調子がよければ70台も。私がレディスティを使う日はスクラッチで勝負しています。

当時から父ともよくラウンドしていました。親子でコンペに出場してあわや優勝⁈という成績を収めたのもとても楽しい思い出です。今は私の主人がその輪に加わって、時々一緒にコースに出ています。

父は1996年から福岡に単身赴任をしていました。その頃から20年以上ずっと通い続けているお店があるのですが、それが新鮮な魚料理店でも博多グルメでもない、街の中華料理屋さんなんです。父と一緒だと必ずそこに連れて行かれるので、他のお店はあまり行ったことがありません。

你好朋友（ニイハオポンユウ）というそのお店は、昔はとてもこじんまりとしていましたが、父が通い詰め、周りの方達に積極的にお薦めしたこともあってホークスの球団社長をはじめとするスポーツ界の方々や芸能関係、メディア関係の方達がたくさん行かれるようになり、今ではとてもきれいで立派なお店になっています（笑）。

ここに行ったらスーラータンメンと、ピーマンの豆鼓（トウチ）炒めははずせません。ピーマンを丸ごと豆鼓醤で炒めただけの不思議なお料理は、柔らかくて甘みがあってクセになる美味しさです。

福岡といえば、芥屋ゴルフ倶楽部の鯛茶漬けもおすすめです。今やネットショップや空港でも買える芥屋の名物ですが、海を見ながらレストランで食べる鯛茶漬けは格別です。

海がきれいに見えるゴルフコースはたくさんありますが、クラブハウスのレストランからあれほど雄大な景色を楽しめるところはなかなかないと思います。コースのメンテナンスも素晴らしく、いつ行っても爽快なプレーを楽しめます。

左＝你好朋友の『ピーマンの豆鼓炒め』はピーマンが苦手という方にもおすすめ。右＝芥屋ゴルフ倶楽部の名物『鯛茶漬け』。

いいスコアのご褒美は

太平洋クラブ美野里コースの朝食『美野里TKG』800円。お米は茨城産コシヒカリ、卵は奥久慈卵、しょうゆは土佐醤油を使用。梅じゃこ、昆布、ごまなどをブレンドしたオリジナルのふりかけとの相性は抜群。

学生時代からずっと続けているのがラウンド前後の練習です。今も当日の朝は必ず練習をして、ラウンド後も練習場に寄ってから帰るようにしています。バンカーやアプローチ練習場も整っているコースのドライビングレンジは私にとって、とても居心地がいい場所なんです。
スタートの1時間前には練習を始めていたいので、朝食はゴルフ場で、少なくとも90分前には食べるようにしています。太平洋クラブ美野里コースには『美野里TKG』という朝食があり、これは今まで食べた卵かけごはんの中でもナンバーワンだと思います。
ご飯の炊き加減も、地元産のブランド卵を使っているという卵の味もよく、しかもそこにオリジナルのふりかけがついてくるんです。昆布やじゃこ、ごまの風味と食感が加わって、得も言われぬ美味しさです。

最近は食材や献立にこだわったり、健康を気遣う料理にシフトしたりと、レストランを訪れるのが楽しみなゴルフ場が増えました。人気メニューやおすすめ料理を頼むこともありますが、時々、どこに行っても同じメニューを食べ比べるという楽しみ方もしています。鉄火丼ならあのコース、カレーはあのコースというように、私のグルメデータもかなり充実してきました。

太平洋クラブ成田コースにも主人とよく行くのですが、いいスコアが出ると必ず寄り道をして食べるのが亀戸餃子です。メニューは焼き餃子とドリンクのみ、5個1皿の餃子をお店に入ったらまず2皿は食べなければいけないのがここのルールで、その後はわんこそばのようにストップをかけるまで焼き立てがどんどん運ばれて、お皿が積み重なっていきます。
車で行っても寄りやすい場所にあり、ゴルフの帰りだと中途半端な時間帯なので行列もほとんどありません。お酒も飲まずにアツアツの餃子を1人4皿。これが私にとって最高のご褒美メニューです。

左上＝太平洋クラブ美野里コース　右上＝太平洋クラブ成田コース　下段は亀戸餃子（1皿270円）。亀戸駅前の路地に面したお店の前にはいつも行列が。

ちょっと寄り道　成田

成田山新勝寺

開山は940年。源頼朝、水戸光圀、二宮尊徳、市川團十郎らの崇敬を受け、現在は年間1000万人を超える参詣者が訪れる。
成田山公園の紅葉まつり

成田山新勝寺大本堂の奥に広がる大庭園で紅葉狩り。今年20回目を迎える紅葉まつりは11月9日～11月24日に開催（10時～15時）。期間中の土日祝はイベントも行われる。
うなぎ

食の名物といえばやっぱり鰻。『駿河屋』や『川豊』などの老舗専門店からカジュアルな食堂まで、成田駅から成田山新勝寺に向かう参道に鰻を出す店が軒を連ねる。
航空科学博物館

開館30周年を迎えてリニューアルオープン。約300機のソリッドモデルを利用した立体航空機年表を設置。最新型の訓練用フライトシミュレーターも体験できる。
成田市場

誰でも買物ができる市民の台所。予約制で見学ツアーも行っている。毎月第2・第4土曜は即売市などのイベントを開催。成田空港から車で約20分。
空の駅さくら館

成田空港から車で9分。飛行機の離発着を間近に見る公園内で地元産野菜や土産物を販売。花見スポットとしても知られている。