ゴルフはコミュニケーションツールという結論で、一端幕を閉じます

CLUB ONOFF誕生に伴い「ISM」も新たな道を模索します

「連載も108回を迎えました。108と言えば、除夜の鐘も108回です。切りの良いところで、ISMの在り方も一考しませんか? CLUB ONOFFとの密着度を増すような、そんなコンテンツにしたいと思っています」。

ISMを担当して頂いているオノフスタッフから、一端幕引きの相談を受けました。もちろん、私は快諾しました。CLUB ONOFFに対するスタッフの熱意は計り知れないものがあります。既存のゴルフメーカーでは実現していない最高のサービスを、CLUB ONOFFならきっと実現していると、個人的には確信しています。

というわけで、ISMも今回が最終回となりましたが、最終回のお約束と言えばアーカイブの縮小版です。ISMの内容を振り返ってみると、私の身の回りで起きた珍事が多かったと思います。実は私が当初目指していたのは、ゴルフクラブのテクノロジーの話をメインに、ちょっぴりプロトーナメントの報告、そして、さらにちょっぴり雑ネタという構想でした。

しかし、連載をはじめてみると、当初の目論見はまんまと外れ、見事なまでに雑ネタの応酬となってしまいました。そんな暴挙を許して頂いた担当スタッフの方々には、ひたすらお礼を言うしかありませんが、本音を言わせて頂くと、ゴルフと接するということはそれほど特別なことではなく、日常生活に溶け込んだゴルフこそ、本当の意味でのゴルフということだと思っています。

かなり言い訳のようなことを述べていますが、やはりゴルフは特別なことではなく、日常会話にちょくちょく顔を出してくれたときが、ゴルフ本来の姿がそこにあると思います。これは主観なのですが、ゴルフはあくまでもコミュニケーションツールという結論をもっています。もちろんスコアも大切ですが、それは各人のプレーの産物ですから、共有する事に無理があります(団体競技等を除く)。

もちろん、好スコアでホールアウトしたプレーヤーに敬意を払うのは当然としても、それより注目されるのがそのお人柄や、プレースタイルでしょう。やはり、最終的には「人」であって、ゴルフは色々な人と知り合えるコミュニケーションツールというのが、ゴルフの最大の魅力ではないでしょうか。

雑ネタが多くなった理由もそこにあったと思います。その代表例がISMでも紹介した「お爺さんとゴルフ」です。その内容を簡単に申し上げると、順番待ちのカートが列をなす渋滞のひどいショートホールがありました。その理由は、1本のクラブしか持てない、歩くことすらままならいお爺さんが、数ヤード打ってはゆっくり歩き、また打ってはゆっくり歩く……。当然ながら、プレーは遅くなりますが、それを見ていたゴルファーからは文句どころか「すごい、頑張れ」の小さな声援が聞こえてきました。

私も、ゴルフをはじめて感動的なシーンをいくつか経験しましたが、その中でもこのシーンは、一番感動的で胸が熱くなりました。また、某女子大のゴルフ部合宿で、目土用の着色した「砂」をわざわざ持参した部員がいた話も、冗談のような本当の話で、その話を聞いた時は笑いましたが、後になってよく考えてみるとゴルフに限らず、世の中全体で不思議な人が増えていると実感させられました。

アウトドアが苦手な私にとって、ゴルフは動植物の先生という話もさせて頂きました。東南アジアの孤島でプレーした際に、遭遇したオオトカゲや大蛇、そして、昨年の夏に刺された「ブユ」の被害の凄まじさも書かせて頂きました。ティーグランドに現れたオオトカゲに絶句し、ヤツが立ち去る数分間は冷や汗が止まりませんでした。危害を与えなければ大丈夫というキャディーさんの説明は聞きましたが、クラブを握る右手に思わず力が入っていました。

「ブユ」は、夏ゴルフの最大の敵と認識したのが昨年でした。知人の話を聞くにつれ、私の害虫に対する知識がほぼ皆無ということも分かりました。その生息域に於ける防御法や、万が一刺された場合の、処方もあらためてご教授して頂きました。

ゴルフクラブのテクノロジーやスイング理論等は、技術者の皆さんやプロから聞いて学んでいましたが、ゴルフにとって、そして自分自身にとっても一番大切な「自然」に対する知識が、本当に欠けていたと痛感させられました。

「天気図を読めなくて、風のお戯れは予想できません。天気図が読めなくて、ゴルフはできません。それがゴルファーの嗜みです」。こんな内容も書きました。

知人のゴルファーが自信満々に言ったこの言葉が胸に刺さり、天気図が読めて予想できるようになったのも、ゴルフの恩恵と思います。

ニュー赤シリーズを武器にした俳優の舘さんの存在

この連載を通じて度々触れさせて頂いた舘さんの話に移ります。

ニュー赤シリーズのフィッティングが成功した舘さんの笑顔を、今でも鮮明に記憶しています。オノフスタッフの証言によると、クラブによっては私のデータと比較して、「約18ヤードの差がありました」という話を小耳に挟めば、「それが、どうかしました?」と、おとぼけを貫くことはもう無理でしょう。現実的に、舘さんとは近々のプレーのお約束も交わしている関係で、無策のまま挑めば、敗戦は決定的で、また舘さんの後ろ姿を拝むことになります。

しかし、良策中の良策は、やはりクラブを握って練習に精を出すしか方法はなく、これに勝る策は他に見当たりません。舘さんのゴルフ仲間の方々とも、一緒にプレーさせて頂く機会も多くあり、私と同じように「舘さん対策」を色々と考案して、そして実践しているようですが、その結果のほとんどは、これまた敗北……。

以前、そのゴルフ仲間の皆様と「舘さん対策」の談義をしたのですが、そのお話しを聞いているうちに「まだ、私の場合は軽傷だ」という事に気付きました。重傷の方の一例は、アプローチとパッティングのイップスを患い、舘さんと数年一緒にプレーしなくなったら回復したそうです。多分、私もその症状と同じような点はありますが、イップスまでには至ってないと自己判断しています。

こんなことを言ったら舘さんに笑われそうですが、舘さんは「本当の大人がもっている、広大な懐で、広大なゴルフコースと向き合ってプレーしている」。この程度の表現しかできませんが、この意味の奥はかなり深く、いつか舘さんのゴルフをうまく表現したいと思います。

というわけで愚策を練るより、キャディーバッグを持って、練習場へ行って、ボールをひたすら打ち込むことにします。

ISMはこれにて閉幕としますが、近日中にCLUB ONOFFでまた皆さんとお目にかかるのを楽しみにしております。その日まで、ちょっとの間失礼します。

ハンディキャップ36でPAR72をパープレーでラウンドすると、そのグロスは108……。なんの因果でしょうか……。今のゴルフの実力が、数字でも見れるようで情けなく感じる最終回となりました。
キャディーバッグはクラブを入れるバッグですが、この中にはゴルフファーの思い出や希望もいっぱい詰まっています。キャディーバッグが重く感じるときは、悪い思い出を捨てれば軽くなります。
道に迷うと右へ行くか、それとも、左へ行くか、その判断に迫られる場面があります。ゴルフはこの分岐点のように判断力が問われるゲームです。結果を恐れず自分の判断力を信じるしかありません。

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