舘ひろしさんのフィッティングLABO

舘さんに飛距離でも抜かれましたが、それが何か……?

その日は、朝から大忙しでした。その理由は、多忙を極める俳優の舘ひろしさんが、オノフの聖地ともいえるグローブライド本社内の「オノフフィッティングラボルーム」へお越し頂くことになり、その弾道計測のお手伝いをさせて頂くことになったからです。

お手伝いといっても、私が計測を担当するわけではありませんし、これといって何ができるわけでもありません。私ができることといったら、舘さんの好物でも揃えておき、試打を終了した時点で召し上がって頂くことくらいしか思いつきません。

というわけで、普段は行列に絶対並ばないことにしていますが、この日は特例として、某有名和菓子店の列に身を置きました。近所の叔母さんたちに目撃されると、後で何を言われるか心配なので、体を小さくしてマフラーで顔を隠しました。

この和菓子店で買い求めるターゲットは「桜餅」です。余談が長くなりそうなので、この程度にしておきますが、この「桜餅」を手土産にグローブライド本社へと向かいました。

「オノフ フィッティング ラボルーム」は、一般の方々にも開放されているクラブフィッティングルームです。詳細はオノフホームページに掲載されていますが、毎週木曜日と金曜日に予約制で申し込めます。費用は無料なので、活用すべきでしょう。

さて、本題の舘さんのフィッティングです。正直に申し上げると今回のフィッティングは、個人的にはまったく気が進まず、もし、このフィッティングが成功すれば、舘さんとの今シーズンのゴルフの勝負は、舘さんがスランプに陥らない限り私の完敗は決定的となります。

ここでちょっと、舘さんとのゴルフの勝敗を整理してみます。舘さんとはじめてゴルフを御一緒させてもらったのが、確か……、約17年前になります。ゴルフを御一緒させてもらった当初は、多いときは月に4回ペースでした。舘さんとのゴルフは、とても楽しいとしか表現できないのですが、唯一気になっていたのは、その勝敗の割合です。

当初は、私の飛距離が圧倒的に勝り、ドライバーでは40〜50ヤードのアドバンテージで楽勝と思いきや、ショートゲームで苦戦して、ほぼ互角というのが実話です。

ところが、ラウンドの回数を重ねる毎に、どことなく…、なんとなく…、何故か舘さんのマジックにかかり、十数年後には通算4勝しかできず、負けの数が38までは記憶にありますが、その後は数えるのも馬鹿馬鹿しくなり、諦めました。

そんな宿敵に対して、朝から並んで買った「桜餅」を手土産にフィッティングまでお手伝いするのですから、自分でも不思議です。

舘さんの飛距離が劇的に進化したのは、ここ数年の間です。これはオノフの進化と足並みを揃えた形といっても過言ではない事実です。ここ2〜3年で私との飛距離の差はあっという間に縮まっていました。具体的にはドライバーで約5〜6ヤードですが、飛距離はほぼ同じといえます。

そして迎えたこの日、舘さんは試打に適したラフなスタイルです。実は舘さん、かなりの努力家で、多忙な日々の合間をみては練習場で打っています。約2時間、300球前後は打っていると思います。確かに努力はされていますが、この日の舘さんのスイングを見ていると、さらにパワーアップしているように感じました。

フィッティングは、舘さん愛用の赤オノフ(前モデル)のデータをとることからスタートです。ニューモデルの赤と比較するには、このデータが必要です。当然ながら、舘さんが想定している飛距離やスピン量が計測されました。そのミート率の高さと、安定したヘッドの入射角なども安定度は抜群なものがあります。

つまり、ミスショットの確率が低く、そのため弾道の高さや飛距離、そして方向性が安定しているということです。一般的には「大変良くできました!」と、胸を撫で下ろすところですが、舘さんは違います。まだまだ飛距離を伸ばし、方向性もさらに安定させようと考えているようです。

今シーズンも負け戦にいくようなものですが、それが何か……?

さて、ここからが本題ですが、舘さんは私が持参した「桜餅」を食し、さらに力が湧いてきたのか、後半のニューモデルの赤の試打に入ります。

「ドスン!」という、マットに当たるボールの音が一段と迫力を増し、フィッティングルームを震撼させます。必然的にスタッフからも、思わず「ナイスショット!」という歓声が響きます。私も、つい「お〜っ!!」というため息が漏れます。

そこで、私も急遽打ちたくなって、数発打ってみました。

しかしその結果……、舘さんはニュー赤ドライバーのトータル飛距離で約10ヤード伸び、私のデータはあっさりと抜かれました。

私のショットを見ていたオノフのスタッフからは「キレがない」と、痛烈な指摘を受け、失意のどん底に陥ったのは、ゴルファーならご理解頂けると思います。

舘さんのフィッティングは続きます。

ニュー赤シリーズは、どのモデルも飛距離が確実に伸びます。この点は、私も試打をして実感しています。その中でもアイアンは突出した性能があります。

スライス系の人はストレートからドロー系に変わると思いますし、ドロー系の人は逆球(意図した方向と逆の方向にボールが飛んでしまう)を、まったく気にしなくなります。あとは、自分なりにドロー系の曲がりを調整すれば、自分の求める弾道をリラックスしながら打てると思います。

舘さんが、ニュー赤アイアンの7番を手にしました。しかし、問題はここで起きました。

舘さん自身も「えっ! 7番アイアンの飛距離が190ヤード?」

計測器はまったく正常です。

「今度のアイアンは打感が素晴らしい。ソフトで、楽に打てる」という、舘さんの自信に満ちた表情が、私との勝負の行方を占うどころか、「今シーズンも僕の勝利」と宣告されたようなもので、私は敵の武将に名刀を奉納したようなものです。

すべてのフィッティングを終了した舘さんは、いつものとおりアメリカンコーヒーを口に運びながら、笑顔を絶やしません。ゴルフと接しているときの舘さんはいつも笑顔ですが、この時は、さらに輝いた笑顔という感じでしょうか。

その笑顔は帰りのクルマの中でも変わらず、車窓から手を振る舘さんが印象的でした。

舘さんが冗談半分で言っていた、「ドライバーの目標は300ヤード!」という言葉も、まんざら夢ではなく、ひょっとしたら、もしかしたら、現実に起きるかもしれない。

いつもの冗談半分が、私的には、まったくの不安材料にしかなりません。舘さんの冗談半分が、プレー中に現実化することを度々目撃していれば、私の心情をご理解頂けると思います。

ちなみに舘さんにフィットしたシャフトは、ウッド系がラボスペックシャフト「HASHIRI」、そしてアイアンは「N.S.PRO.950GH HT(S)」です。

最後になりますが、舘さんの素晴らしいフィッティングデータを私的に重く受け止め、対抗策を再考しなければならないようです。しかし、ここ十数年「キレがない!」策ばかりですから、舘さんを見習って練習するしか方法はないようです。

書き損じそうになりましたが、舘さんは3月末に66歳の「進化する誕生日」を迎えます。

シャープなスイングとニュー赤シリーズで、明らかなクラブ性能向上を確認した舘さん。計測データは現実を数字で表してくれます。ある時は甘味な「桜餅」のように。そしてある時は、梅の季節に食す「梅干し」のようにしょっぱく感じます。
プライベートで過ごすリラックスした舘さんが、やはり一番格好いいと個人的に感じています。舘さんは無限の進化を遂げます。鈴木部長(右から2番目)とオノフスタッフの皆さんと、試打結果にご納得の記念撮影です。ここに幸あります。

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