2018.3.1

練習場では上手く打てても、コースに出ると上手く打てないのが我々凡ゴルファーである。

それを上級者に「なぜでしょう」と尋ねると、「コースは練習場と違って平らなところから打てないからねえ」と言われたり、「練習場は同じところから何回も打てるけど、コースでは1回しか打てないからねえ」などと言われたりする。

確かにその通りなのだけど、中部銀次郎さんが言った次の一言が「なるほど」と納得してしまう。

その一言とは「ハザードは技術の邪魔をしているのではなく、心の邪魔をしているのです」というもの。「入る可能性のあるハザードはたとえ50ヤードでも入ります」とも言っている。

確かに目の前にバンカーがあると、なぜかダフって入れてしまったり、それが池ならば必ずダフって入れてしまうという人もいる。そんな人は「あ、イケない」などダジャレを言って笑ったりするが、周囲は妙に寂しい思いをしてしまう。

しかも我々凡ゴルファーは、ティグラウンドでは両サイドの林が気になったり、目の前の谷が気になったりして、悪魔に誘い込まれるように打ち込んでしまうし、グリーン周りでは目の前のピンに悪魔が「寄らないよ」と囁いてトップやザックリを犯してしまうのだ。

いずれも、コースのロケーションが心の邪魔をして、ミスを犯すというわけだ。

中部さんは言っている。

「ゴルフはミスのゲーム。だからミスを犯すのは仕方がないけど、それをいかに少なくするか。心を落ち着かせて打つことです」

うーん。でも、どうやって心を落ち着かせれば良いのか。

「打つ前に深呼吸してください。そして、結果を考えず、体をしっかりと動かすことです」

なかべ・ぎんじろう

1942年2月16日、山口県下関生まれ、2001年12月14日逝去。10歳のときに父の手ほどきでゴルフを始め、高校時代からゴルフ界で頭角を現し、甲南大学時代の’62年に日本アマチュア選手権に初優勝。以来、’64、’67、’74、’78年と6度の優勝を遂げる。亡くなるまで東京ゴルフ倶楽部HC1。