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LAST UPDATED:2025.06.18

プロインタビュー vol.74

藤田さいき

チームオノフのプロ21目の藤田さいきは今年11月に不惑を迎える。文字どおりベテランの域にあり、通算7勝目を目指して今季ツアーに挑んでいた。 開幕戦と第2戦はいずれも22位タイの成績を残した。第3戦目は初日に棄権したものの、第4戦目の「ヤマハレディース葛城」では初日、2日目ともに68の好スコアをマークし、通算8アンダーの単独首位で決勝ラウンドに駒を進めた。

3日目はスコアを二つ伸ばし、最終日は首位と1打差の2位でティーオフ。ボギーを先行させてしまったが、バウンスバックに成功し、17、18番の上がり2ホールでバーディーを奪取したのだった。通算12アンダーでのフィニッシュ。優勝争いを演じながらも、頂点に立つには1打及ばず、チームオノフの小林光希プロとともに3位タイに終わったのだった。

活躍するチームオノフメンバーにインタビューを試みて、小林プロは快く対応してくれた。一方の藤田プロは「体のケアに時間を要し、体調も芳しくはないので、また次の機会にお願いしても良いですか」と申し訳なそうな顔でクラブハウスを後にしたのだった。 

5月上旬のパナソニックオープンでは、2日目の前半9ホールをプレーした後に途中棄権した。その次戦は今季国内初メジャーの「ワールドレディスチャンピオンシップ」。藤田プロはメジャー開催週の練習日である火曜日、雨が降る悪天候ながらコースへ足を運び、9ホールをラウンド。翌水曜日のプロアマ大会のティーオフ前にインタビューの時間を割いてくれたのだった。

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藤田 インタビューを何度も何度もお断りしてごめんなさい。

――いえいえ、ずっと気にかけて頂いたのだと思うと、逆に恐縮です。ご多忙の中、本当に有難うございます。 早速ですが、今季は4戦目で優勝争いを演じました。今季はここまで7戦して5戦で予選通過を果たし、残り2戦は棄権という成績ですが、仕上がりは順調に来ていると思ってよいのでしょうか。

藤田 そんなことありませんよ。体調は良くないし、右手首痛が回復しません。それに去年からの背中痛、腰痛を引きずっている感じ。だましだましプレーしている観は否めない状態なんです。 本当なら結果(優勝によるシード権獲得)を出してどこかの試合をスキップできれば良いのですが、そうそう簡単には優勝できるわけでもないですからね。

――体調がそれほど芳しくないにも関わらず、成績は悪くないということなのですか。ヤマハレディースでも優勝争いをしていますよね。結果は1打及ばずの3位タイでしたし、上がり2ホールでは連続バーディー奪取でのフィニッシュです。勝つチャンスは有ったように思えてなりません。

藤田 ヤマハレディースね……決して厄年ではありませんが、決勝ラウンドの土曜日も最終日の日曜日も胃腸炎になってしまって体調は最悪だったんです。体調が良ければという思いもありますが、原因が連戦による疲れなのか何なのかが分からず仕舞い。検査に行くにも時間があまりにもなさ過ぎて…。朝、目覚めたらすぐに体のケア、ラウンド後もケアに努めているので病院に行けないのが実情なんです。 

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――何か明るい話はありませんか?

藤田 有ればいいんですけどね。先週(パナソニックオープン)は試合を手首痛で途中棄権したのですが、土曜日に39度もの熱が出てしまい、まったく動けませんでした。体調万全、健康な体に戻したい。でも年齢が年齢だけに結局はうまく(誤魔化しながら)やるしかないんです。

――今季のツアー目標は?

藤田 まずはシード権の確保です。それにツアー優勝(通算7勝目)、ホールインワンのツアー記録更新となる8回目を実現させることです。パー3ホールは、すべて狙っていますけど(笑)。

―― 一日も早く体調が戻り、藤田プロ本来のプレーが観られることを期待しています。

藤田 有難うございます。若い選手とは違って、これまでの経験値を生かしてスコアを作って行くだけです。頑張りますね。

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このインタビュー後、藤田プロは国内メジャー第1戦で初日から単独首位に立ち、その座を守り続けながら最終日を迎え、2位に2打差をつけてスタート。ボギーを先行させたものの、バーディーを奪い返し、通算7アンダーの首位に並んだ申ジエとプレーオフ。同1ホール目で申に敗れた。ホールアウト後、救急車で病院へ運ばれるほど、心身ともに限界を越していたのだった。 診察後にコースへ戻り、取材に応えた藤田プロのコメントは次のとおり。

「前週の土曜日から熱が出て、治りかけていたけど、試合のなかで無理しているところもあって、こじらせてしまいました。同伴競技者の申ジエさん、山城奈々さんに咳でご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ない気持ちで今はいっぱいです。若干プレーオフの記憶が薄らいでいますが、ジエさんの最後のバーディーパットは覚えています。本当に素晴らしいプレーでした。ジエさんを称えたいです。本当におめでとうございます」

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「グッドルーザー」となった藤田プロの渾身のプレーが、ギャラリーやゴルフファンに感動を与えたのは間違いない。次は「素晴らしきウイナー(勝者)」になることを願うばかりだ。