LAST UPDATED:2019.01.30
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Products Inside Story vol.28
目土袋 / トートバッグ

「ナイスショット!」
「ありがとうございます、やった!」
コースデビューに付き合っていただいた先輩に弾んだ声で返答した。10歳以上年上で先輩というには烏滸がましい関係だったけれど、ニコニコした笑顔に思わずフランクに話してしまった。初めての芝の上からのショットは難しく、僕はチョロやダフり、曲がりを連発し、8ホール目で初めてちゃんと当たったショットだった。
「いやぁ、芯を食うと面白いですねぇ。」
「でしょ、弾道も方向も良かったよ。」
上気した僕は、興奮気味に会話を続ける。先輩は、返答しながら目土をしていた。
右へ左へと走る僕の代わりに先輩がしてくれていたのだ。ラウンド前にマナーは教わっていたのだけれど、今日は余裕がないだろうから目土はしておくよと言われたことを思い出した。それまで気づかないほどにバタバタしていた僕は、深々とお辞儀をした。
ハーフが終わりクラブハウスに戻った。
トイレに立ち寄ると、先輩がタオルで洗面台周りの水しぶきを拭いている。僕は並んでその隣を拭く。
「今日はありがとうございました。」
「まだハーフあるよ。」
笑いながら返答された。
それ以来、僕はゴルフが大好きになった。ショットやコース攻略はもとより、あの雰囲気が好きになったのだ。最初にその先輩とプレイできたのは本当に幸運だったと思う。

MPRODUCTS
M初期のオノフの広告を覚えてられますでしょうか。ラフからの風景や、目土袋を使用したビジュアルのものです。その後もオノフの広告写真には目土袋が多く登場します。スコットランドのゴルフのプリンシプル(原則、信条等の意味)をブランドコンセプトに持つオノフには大切な商品だからです。
現在オノフには、2型計3色の目土袋がラインナップされています。11号帆布を使用したネイビーとベージュのモデル、8号のブラックカラーのタイプ。目土袋してだけでなく、ラウンド時に使用するトートバッグとしても使用できます。
また現在注目されているハーフラウンドゴルフで、キャディバッグを担いでプレーする場合にも目土袋は必要になります。アスリート雰囲気のゴルフにチャレンジされてみてはいかがでしょうか。
ぜひご愛用頂き、帆布ならではの使い込んで柔らかくなる風合いをお楽しみください。

目土には2つの目的があります。コースの保護と後続のプレーヤーのボールがディボットに入らないようにするためです。以前はキャディさんが目土をしてくれましたが、セルフプレーが多い現在ではプレーヤーの役割になりました。少し多めにいれて、足で踏みならし、さっと次のショットへ向かうとスマートでいいですね。

目土袋として利用しなくても、シンプルなラウンドバッグとして使うことができます。サイドにポケットはありますが、中には仕切りがないのでタオルや飲み物、ボールなどを入れても見渡しやすく、ピックアップがしやすい便利なバッグです。目土用と色違いで持つとかもいかがでしょうか。

11号帆布を使用したネイビーとベージュのタイプ。ブラックよりも柔らかく馴染みやすい素材です。プリントされた「Make haste slowly」はヨーロッパに伝わる格言で、急がば回れ・焦りは禁物の意味です。目土をして落ち着いてプレーする。ゴルフの愉しみ方に通じる言葉ですね。

ブラックカラーは、高級帆布の一大産地、岡山県倉敷市の代表的なメーカー「タケヤリ」による目のつまった生地ですので、型崩れしにくく、高い防水性もあります。プリントが無いシンプルなタイプです。

古代エジプト時代に船の帆として使用されたことをルーツに持つ帆布。英語ではキャンバスと呼ばれ、絵画にも使用されています。現在では様々なものに使用され、相撲のまわしにも使用されています。耐久性の高さが特徴ですが、濡れることによって目がつまり、水を通しにくい機能性も保有しています。

オノフのフィッティングルームには長い年月使用されてきた目土袋がいくつもあります。柔らかくなって使いやすく、また布の表面も雰囲気のあるヤレ具合です。クラブオノフのイベントで持参される方も多く、皆様の使用された目土袋を拝見することもスタッフの密かな楽しみのひとつです。

Mオノフの初期の広告コピーを転載いたします。「君が来たときよりも、いい状態にしてコースから立ち去れ。ピーター・ヘイのことばに、あたらしい世紀のゴルフの性根が、背骨が、マインドが、スピリッツが込められている。人はクラブを手にしたときに、その全人格をあらわすのだ。それは畏怖すべきことだが、だからこそゴルフは大人にふさわしい。ディボットを放っておくことは、世界への非礼であると感じるような、ういういしい感受性がなくて、なんのゴルフだろうか。オノフが、言いたかったこと、やろうとしていること、そのすべてが、クラブに、ゴルフ用品に、朴訥として込められる。付け加えることは、なにひとつない。」社会生活にも通じる言葉で、クラブオノフのコンセプトの根源でもあります。

Mオノフには10本までが収納可能な7型のキャディバッグがあります。スタッフには時々7本を選んで、このバッグでラウンドする者もいます。「十分な気がする」彼らのコメントです。ひとつの番手で打ち分ける楽しみも体験できます。先日、オノフの立ち上げの中心となったプロデューサーとブランドのプレゼンをする機会がありました。熱心に目土袋から始まるストーリーに感化を受け、今回のピックアップ商品を目土袋にいたしました。シンプルな目土袋ですが、そこにはゴルファーのマナーだけでなく、社会人としてのマナー、生き方までの考えが込められていました。

Mオノフでは度々、スコットランドでロケを行ってきました。ロケは数日に渡りますので訪問者の様子がよくわかるそうです。老夫婦が散歩のように毎日プレーしに訪れたり、壮年の男性が仲間と競い合うゴルフもあり、またアメリカからの来訪者も多いそうです。「映画のような1コマだよ。」と報告がありました。その様子がCMに表れています。2018年はスコットランドテイストを感じる小値賀島のロケでしたが、2017年はスコットランド。ぜひ、アップされたムービーをご覧ください。

M帆布の目土袋は長期間の使用に耐えます。年月を重ねて使用者に馴染んでいきます。クラブでもウェッジは、砂や土への接触で削れていきます。最近、街にでますと靴やカバンのリペアショップが増えました。いいもの、気に入ったものを長く使う時代になったようです。そのためには、大切に扱い、手入れを欠かさないことだと思います。革靴を手で脱ぎ、手入れするように色々なものを大切したい、そのためには大切にされるようなものを作ろうとオノフ商品スタッフは開発に努力し、これからも向上に向けて努力してまいります。
文:A