LAST UPDATED:2019.05.15
[archive]
Products Inside Story vol.29
マッスルバックアイアン / MB-247D

ラウンドを終えてそそくさとゴルフ場を後にして帰宅した。玄関にそのゴルフ道具を広げ、まずは靴にクリームを塗って手入れをし、それからクラブを磨いた。今日デビューしたばかりのアイアンは、ラフから打ったせいか少し汚れている。キュッキュッと拭き上げ、シャフトを磨くとピカピカになった。
マッスルバックアイアンを買うのは久しぶりで、ふたつめになる。リビングにオブジェのように置いてある古いマッスルバックは20年ぐらい前に手に入れたもの。当時のアスリートゴルフブームに乗って購入した。長年の使用で傷がついたり小さな凹みがあるのだけれど、それがいいと思っている。この新しいクラブも何年かすれば同じように勲章を身に着けていくのだろうか。待ち遠しい楽しみだけれど、ゆっくりと使っていこうと思う。
「また、難しそうなものを使ってるねぇ。」
「いやいや、前のより楽だよ。」
友人はショートホールで僕のアイアンを借りてティーショットした。薄く入ったショットは、ライナーぎみでグリーンを少しこぼれた。
「やっぱりちょっと難しいな。」
「でも昔のものに比べたらトップ目でもあがるでしょ。」
「そうだね。」
初日で手に馴染むほど簡単ではないけれど、いつか自在に操れるような予感がする。侍のように空にかざすと誇り高い気分になった。
「何してるの?」
「ほら、ブレードっていうでしょ。」
僕は刀を鞘に収めるように丁寧にキャディバッグに戻した。

MPRODUCTS
M久しぶりに登場したオノフのマッスルバックアイアン。前作と同じ日本の名工房で生産されています。熟練のテクニックによる仕上げの美しさ、軟鉄マッスルバックならではの打感、所有感も充たしてくれます。14年の月日の間に、設計やテクノロジーも進化し、易しさが増しました。
バックフェースの溝の効果により重量配分が適正化され、ミスヒットに強くなっています。イメージから難しそうだなと思われている方も、ぜひ試打会やフィッティングでお試しください。易しさのスペックは黒アイアンと遜色がないほどですから。
また同時に純鉄のウェッジもデビューしました。同じ工房で作られていますが、99.3%以上の高純度の鉄を使用しています。ソールの形状も美しく、様々なテクニックに応える削りになっています。フェース面は、柔らかい打感を守るためにノーメッキに。
ソール形状も52°はしっかりとバンスが効くエッジがきいたものに、58°は開いて打ち易いようにヒール側を削っています。
最新デザイン&設計理論のマッスルバックをぜひお楽しみください。

フェースプログレッションは4.1mmと大きめでボールの捕まりすぎを押さえています。オノフではもっとも大きな値ですが、黒アイアンとの違いはわずか0.3mm。ストレートネックが好きな方にはしっくりとくるのではないでしょうか。トップラインのエッジは、やさしさと強い弾道をイメージできるものになっています。

ヘッドとネックは別々に鍛造され溶接されています。これはより平面的に鍛圧を掛け密度を均一化することと、ホーゼル穴を中心にレイアウトするためです。工程が増える製造方法ですが、柔らかい打感や正確なショット、精度につながるこだわりの製法です。

バック面を上下に重量配分した設計により、飛距離の前後のバラツキを低減。安定した飛距離性能を実現します。マッスルバックの操作性の良さをそのままに、絶妙な重心バランス設計による やさしさ(上がり易さ、ほど良い捕まり、弾道安定性)を実現しました。

新作MB-247DにはルーツともいえるマッスルバックMB-247があります。15年前のモデルですので、比較するとソールの薄さが分かります。この期間にアイアンの設計テクノロジーも高まり、易しさが増しています。もし身近な方で旧モデルをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ比較試打をしてみてください。

慣性モーメントを黒アイアンと比較すると、左右は同じで上下はMBの方が易しくなっています。バックフェースの重量バランス設計のおかげです。フェースの上側でヒットしたときに大きく距離をロスすることを軽減しています。重心アングルも黒と同じで捕まり具合も近いと言えます。

今回のもうひとつの注目商品、軟鉄鍛造ウェッジ。日本には多くの地クラブメーカーがあり丹念な削りで評判がいいのですが、このWG-247Dにもその職人魂が込められています。抜群の抜けを予感させるソールの絶妙なカーブ、落とされ開きやすいヒール形状。ウェッジショットを楽しくしてくれそうです。

Mマッスルバックアイアンは、ゴルファーなら常に気になるアイテムのひとつです。使いこなすプロの正確なショットや自在に操る弾道をみる度に憧れは強くなります。私もそうなのですが、知人にもマッスルバックアイアンを持ち続けている人がいます。なぜか手放せなくて長く保有してしまいます。練習場で深重心のキャビティアイアンと交互に打ったりすると、それぞれがスイングの欠点を教えてくれるような気がします。入射角だったり、手首の返し方だったり。そしてゴルフって面白いなぁとまた認識させられてきました。「Make haste slowly」急がば回れ。なかなか、階段をタンタンと昇るように上達していかないのもゴルフだなぁと。

Mマッスルバックアイアンも、進化しました。重量配分の理論がすすみ、慣性モーメントがアップしミスヒットに強くなりました。また重心距離も長くなり、ヘッドスピードを上げてくれる設計になりました。試打した人からは、以前ほどフェイスターンを意識しなくていい、真っ直ぐ打てば飛距離が出てボールも上がるとの意見が出ました。それでいて、打感は特別。吸いつくような打感は、キャビティでは味わえないもの。慣性モーメントがアップしても、フェースのどの部分でヒットしたかは手に伝わります。おそらくマッスルバックは、ブレードとかフラットバックと呼ばれながらも、最も長く基本設計が変わっていないクラブのひとつかもしれません。ゴルフの楽しみを深くしてくれる道具としていかがでしょうか。

Mラボスペックアイアンは、赤や黒などのように量産できない、特別なキャラクターを持ったモデルに名付けられています。つまり、開発者の意図が強く反映されています。赤アイアンやFF247などの飛距離が出て易しいクラブを設計しながらも、開発者のマッスルバックに対する憧憬は強く、販売決定となりました。その憧れは強く、日本を代表する軟鉄鍛造アイアンの工房に生産をお願いいたしました。社内の初期の開発試打会では、「こういうクラブって正しいスイングを教えてくれるよね。」とか、「やっぱりトップで親指に乗る感覚が…」と長年をゴルフ好きであり続けた人ならではの感想が社内でも出ました。それは開発者にとっても心が熱くなるような出来事でした。

M限定生産のために本数が少なく、試打クラブが少なかったのですが、ようやくある程度揃い練習場試打会などでもお試しいただけるようになりました。また事前にご希望をご連絡いただければ、試打会向けにご用意いたします。会場には、赤、黒はもちろんラボスペックのFF247、RB247などをご用意していますのでアイアンの打ち比べをぜひお楽しみください。重心深度やフェース弾き感だけでもかなり異なりますので。クラブってこんなに違うんだって実感いただけると思います。
文:A