LAST UPDATED：2025.05.22

Products Inside Story vol.32

オノフカタログ 2025（前編）

「今年の発行はいつですか？」と、楽しみにされている方が多いオノフのカタログ。オノフだからこそのこだわりがいっぱい詰まったカタログは2002年から数えてこれが24冊目。一般的にゴルフ用品のカタログ写真というと屋外で撮ることをしませんが、オノフのカタログはオールロケ。クラブやキャディバッグは照明ではなく太陽の下で見るもの。だから自然の中へ出かけて行く撮影スタイルをずっと続けているのです。

今回はオノフのブランドプロデューサーである大江旅人、カタログ制作進行を担当する藤田絢子の両氏にオノフカタログの制作ストーリーを聞いてきました。ロケ地にまつわるエピソードや撮影中の裏話と共にお楽しみください。

（プロフィール）
大江旅人
アートディレクター、オノフのブランドプロデューサー。音楽、映像、ファッションなどのブランディングやデザインを数多く手がけている。株式会社ストレンジフルーツ代表

藤田絢子
プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー。ストレンジフルーツでオノフのブランディング、カタログ制作進行を担当。

Mグリーン上やプレーヤーの写真を入れない理由

M「ゴルフの楽しさ、オノフらしさをわかりやすくビジュアルで」。2002年のブランド誕生以来、オノフが一貫してカタログで表現し続けているテーマです。そのためには必要なもの、要らないものがあると大江氏は言います。

「ご覧いただくとおわかりのように、このカタログにはグリーン上の写真がほとんど出てきません。花道やピンフラッグの写真もありません。それは、そこに行き着くまでの途中や、ちょっと外れた場所にたくさんのストーリーがあるからです。これだけラフやブッシュが写っているカタログはほかにないでしょうね」

そしてずっと続けていることがもうひとつ。このカタログにはプレーヤーが写っている写真がありません。 「それは、ここに載っているクラブやキャディバッグを使うのは、モデルやプロではなくカタログをご覧になっている皆さんだから。コースで手にした時の想像が膨らむように、あえて人物は入れないようにしているんです」

Mカタログを正方形にしたのにも理由があります

Mオノフのカタログは正方形のフォルムも独特です。「この形にしたのには2つの理由がある」と大江氏は言います。

「まずオノフのＯ（オー）マークが正方形なので、それとリンクさせました。もう1つの理由はページを開いた時の効果です。見開きの写真が1:2の横長になって、広がりと奥行きをより感じられるようにしているんです。また、この写真にはコンセプトを記した読み物を添えてアマチュアゴルファーにも楽しんでいただけるようにしています。ここまで“読めるカタログ”にしているゴルフメーカーは他にないと思います」

表紙と見開きの写真は各地のゴルフ場に出向いて撮影しています。ロケーション撮影にこだわるのは、ゴルフは自然の中で大人が遊ぶものだから。クラブを片手に闊歩する、そこにスタジオセットの無機的な背景は似合わないと考えているのです。

「それも、真正面にピンフラッグが立っているような典型的な景色では面白くないですよね。ギリギリセーフだった池の淵やボールを探しに入って行った林の中のほうが、ちょっとドキドキするでしょう？　典型的ではない風景に出合った時は実に面白い、いい写真になるんです」

Mロケ地探し

Mカタログの制作進行を担当する藤田氏は、大江氏と共に撮影候補地を探してきました。

「まだあまり知られていないシーサイドリンクスや島のゴルフ場を求めて、地図上の海に沿って、緑が広がっている場所を延々と探し続けたこともありました（笑）。これまでスコットランド、ニュージーランド、沖縄、北海道などで撮影を行ってきましたが、トーナメント開催歴やコースランキングを参考にしたことはありません。ショートコースや地元の皆さんが自主運営しているような9ホールも候補に入れますし、むしろそういうゴルフ場のほうが有力候補になるんです」

M撮影はロケハンなしの即興で、現場で風景を切り取っていくように進められます。 「風やボールのライが二度と同じシチュエーションにならないゴルフと同じ。出合う景色も一期一会なんです」と大江氏は言います。

「目的地のゴルフ場への移動中もすでに始まっていて、海沿いの道や断崖の上、林などを移動しながらこれはという景色に出合うと大江が車を停めて撮影するんです。スチールと映像、最少人数でのロケですから、みんなでクラブとキャディバッグを運んでセッティングをして。時々、『やっぱりここはやめよう』ということもあって、その時は即、撤収。次の場所を探して移動します」（藤田氏）

2025年版カタログもこうして作られていきました。次回後編では夏泊ゴルフリンクスで行った撮影の様子などをご紹介します。

M（後半に続きます）

Information　/　Recommended products