2019.12.2

[vol. 026]

冬の宮崎へようこそ


旅するひと = 田村三千雄たむら・みちお

フェニックスカントリークラブ一筋30年。フロント業務などを経て現在は総支配人としてスタッフを束ねる。ゴルフ歴30年。ベストスコアはフェニックスで達成した78。

光の特等席

トム・ワトソンGCの営業終了後から25:00頃まで行われている『黒松林のイルミネーション』。宿泊施設の1つ、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートの客室から見下ろすことができ、満月の日には月光が海に映る“月の道”との幻想的なコラボも楽しめる。

南国宮崎のリゾートも冬の装いに包まれる季節になりました。白砂のビーチがあるプールではLEDやランタンの無数の灯りが水面に映え、ホテルエントランスでは松林をイメージした松ぼっくりと、きらびやかなオーナメントがクリスマスツリーを華やかに彩っています。

フェニックスカントリークラブに隣接するトム・ワトソンゴルフコースでは最終組がホールアウトすると景色が一変、黒松林を照らす壮大なイルミネーションが始まります。コースの一部に1670万もの色を表現できるLED照明が灯り、七色の光がオーロラのように波打つ光景は実に幻想的。大晦日と元日は花火も上がる予定です。
12月中旬から1月中旬にかけては街も光に包まれて、宮崎市の中心街や、シーガイアから徒歩10分ほどのところにある植物公園、フローランテ宮崎などでイルミネーションが点灯し、冬のゲストを迎えます。

左上=クリスマスツリーが飾られたホテルロビー(シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート)。右上=ホテルの目の前で上がる打ち上げ花火。客室から見れば迫力満点。左下=ビーチプールのイルミネーションは2月末まで。右下=フローランテ宮崎のイルミネーション(12月6日~1月13日)。

食の愉しみ

小山薫堂氏プロデュースの牛肉割烹店『Beef Atelier うしのみや』(シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート内)は1日6名限定、メニューは『究極の牛肉割烹コース』(13000円)のみ。宮崎牛を多彩なスタイルに仕立てたコース料理を味わえる。

冬のリゾートは食も大きな愉しみのひとつ。温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた宮崎の食材はどれもレベルの高いものばかりです。なかでもごちそうの代表格は宮崎牛。県産肉の中でも厳しい条件をクリアしたA4等級以上の肉だけが名乗れる日本一の牛肉は赤身のうま味と脂身の甘みのバランスが抜群によく、口に入れるとサラッと溶けてしつこさもありません。焼酎やワインが進むことまちがいなしの美味しさです。

ダンロップフェニックストーナメントの優勝副賞にもなっている宮崎牛はプロの間でも人気が高く、全米オープンチャンピオンのゲーリー・ウッドランド選手は今年の大会前、「世界で最高ランクの宮崎ビーフがもらえるこの大会はとても勝ちたい試合」とコメント。2016、17年に連覇したブルックス・ケプカ選手は自宅の冷蔵庫を増やして1頭分の牛肉を空輸していました。

クラブハウス内のレストランでは『宮崎牛の牛丼』がプロのあいだでも人気No.1メニューになっています。ケプカ選手もたいそうお気に入りで、初出場した年から何度も同じテーブルの同じ席でこの牛丼を食べ続け、優勝した年の表彰式後もまた食べに来たというエピソードが残っています。
私達は敬意を表してその席を“ケプカシート”に認定し、テーブルに記念のプレートを埋め込みました。プレートにはケプカ選手のサインと、「大会期間中、彼は毎日この席で宮崎牛の牛丼を食べた」という文言が刻まれています。

左=シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートにある店、『鉄板焼ふかみ』の宮崎牛。ケプカは最初の年に700g、2年目は1kgを平らげた日も。右=かつてタイガー・ウッズがおかわりし、ケプカが連日食べた『宮崎牛の牛丼』(2100円)。

ベストシーズンはこれから

全国的にも珍しい、まっすぐに長く伸びた海岸線に沿って広がるフェニックス・ シーガイア・リゾート。黒松林の中にフェニックスCC、トム・ワトソンGC、ゴルフアカデミー、3つの宿泊施設などが点在する。

フェニックスカントリークラブは、日向灘に沿って広がる黒松林の中にレイアウトされたシーサイドコースです。樹齢を重ねた松はコース内だけで60万本、付近一帯を含めると200万本に上ります。
緑濃い樹々と大理石を砕いた白砂のバンカーとのコントラストはいつ見ても美しく、その一方で、一見しただけではわからない山から海への傾斜と複雑なアンジュレーション、海からの重たい独特の風が相まって戦略性は非常に高く、何度回っても飽きることがありません。

個人的にはプレーする上でも景色を鑑賞する上でも住吉の4番が特に面白いホールだと思います。プロが1オンを狙うことで知られる左ドッグレッグのパー4ですが、バックティに立ってみるとプロの技術とパワーに驚かされます。また、ここは早朝の景色が格別で、朝日に輝く芝と深い緑の松、青空のコントラストは本当に美しいと思います。住吉コースをラウンドされる際は早めのスタートがおすすめです。

“日本のひなた”というキャッチフレーズを持つ宮崎ですから、真冬でも日差しはとても暖かく、半袖プレーが心地よく感じる日も珍しくありません。平均気温およそ18度と年間を通じて温暖な気候に恵まれ、快晴日数は全国2位、日照時間は全国3位を誇ります。ゴルフをするにはこれからが最高の時季と言っていいでしょう。

左=フェニックスCCの高千穂コース1番パー4。冬はフェアウェイやラフにペレニアルライグラスをオーバーシード。1年中、鮮やかな緑と洋芝の感触を楽しめる。右=早朝の住吉コース4番パー4(325Y~281Y、トーナメント332Y)。ティ後方の海から朝日が昇る。

シーガイアでは今年、ラグビーワールドカップの日本代表とイングランド代表が事前合宿を行いました。そして年が明けると例年、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスの選手達が春季キャンプで滞在します。どのチームも素晴らしい成績を収められたことはお迎えする私達にとってもうれしい限りです。
ゴルフでは文部科学省からナショナルトレーニングセンターの指定を受けており、オリンピック強化選手が時間を見つけてはトレーニングと練習に訪れています。彼らの練習風景を見るたびに、来年の東京オリンピックでの活躍に期待が高まります。

クラブハウスからカートで10分ほどのところにあるゴルフアカデミーは、天然洋芝から打てる350ヤードのドライビングレンジをはじめ、ゴルフ場と同レベルに整備されたグリーンやバンカーなど国内屈指の練習環境が整っています。
皆さんも滞在中はぜひ足を運んでみてください。もしかしたら隣の打席で強化選手のプロが打っているかもしれません。

左上=シェラトン・グランデ・ オーシャンリゾートのクラブフロアのラウンジ。右上=フェニックスゴルフアカデミー。ドライビングレンジは40人が同時に使用可能。左下=フェニックスCCのクラブハウス。右下=ハウス内に展示されている名選手の手形。タイガー・ウッズの手形はみんなが触るのでいつもピカピカ。

ちょっと寄り道 宮崎
  • 堀切峠、道の駅フェニックス(旧フェニックスドライブイン)
    太平洋と“鬼の洗濯板”(波状岩。国の天然記念物)を望む絶景スポット。道の駅はかつてフェニックスドライブインとして親しまれた施設。ショップ、レストラン、展望フロアが揃う。
  • カツオ炙り重
    日南市の新・名物料理。市内で水揚げされた一本釣りカツオを漬けにして七輪で炙り、県産米のご飯に載せて。市内11店舗で食べられる。
  • 鵜戸神宮
    太平洋に突き出した鵜戸崎岬の突端にある洞窟の中に、朱塗りの色鮮やかな本殿が鎮座する。初詣スポットとしても人気が高い。
  • サンメッセ日南
    日南海岸の小高い丘の上にある観光施設。世界で唯一、イースター島の正式な許可を得て完全復刻したモアイ像を見ることができる。毎週水曜休(年末年始等除く)。入園料大人800円。
  • チーズ饅頭
    チーズをクッキー生地で包んだ宮崎銘菓(写真は小林市にある風月堂のもの)。空港や駅でも購入できるので土産におすすめ。
  • 蔵元 綾 酒泉の杜
    雲海酒造が運営する観光施設。本格焼酎や地ビール、ワイン等のお酒や宮崎の特産品などの販売の他、レストランや温泉、純和風旅館などが充実。
Find Information
フェニックスカントリークラブ
27H 10262Y P108
開場/1971年 設計・監修/大橋剛吉、大橋貞吉
日向灘に面した広大な黒松林に展開するシーサイドコース。1974年からダンロップフェニックストーナメントを開催。ラウンドはキャディ付き・歩きが基本。
トム・ワトソンゴルフコース
18H 7012Y P72
開場/1993年 設計/トム・ワトソン
松林がフェアウェイをセパレートするフラットでカジュアルなリゾートコース。ナイターの『ホシゾラ★ゴルフ』は一部期間を除き実施中。宿泊者9ホール5000円~。
みやざき観光情報 旬ナビ
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