みずとり・みち/バイオリニスト。桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部卒業後、マンハッタン音楽院に学ぶ。1999~2002年、ロイヤルチェンバーオーケストラのコンサートミストレス(女性のコンサートマスター)を務め、2002年から東京フィルハーモニー交響楽団の首席奏者に。タングルウッド音楽祭、サイトウキネンオーケストラのヨーロッパ公演、宮崎国際室内楽音楽祭等に参加。ゴルフ歴25年、ベストスコア95。
ツアーの合間のお楽しみ
新千歳空港から90分、洞爺湖温泉にも近い伊達カントリー倶楽部。5月になるとコース内の桜が一斉に開花します。
仕事で地方に出かけることも多く、演奏会場の近くにゴルフ場があるとオーケストラのメンバー達とラウンドを楽しみます。コンサートが始まるのはたいてい夕方か夜なので、午前中は意外と時間があるんです。
なかでも北海道はおなじみの場所。距離のあるコースが多いですが、本来のコースレイアウト通りにチャレンジしたいので、なるべくレギュラーティから回るようにしています。最近、クラブを変えたらちょっと飛ぶようになり、白ティからでも谷越えや海越えのホールがあまり怖くなくなってきました。
プライベートでも洞爺湖の近くに移住した友人夫妻に会いに行くたび、近くのコースで夫と北海道ゴルフを楽しんで帰ります。洞爺湖温泉から車で20分ほどの伊達カントリー倶楽部にはこれまでに二度行きました。
一度目は冬季クローズ間近の11月。前半の数ホールを終えた頃から雪が降り始め、私達の前を回っていた地元の方が「ハーフで上がるわ」とおっしゃるくらいの悪天候に。私達はせっかく来たのだからと寒さに震えながら18ホールを回り切りました。
二度目に行った昨年5月は打って変わって絶好のゴルフ日和。遠くまで見渡せるほど空気が澄んで山の景色が雄大で、ああこんなに綺麗なところだったんだと感動しました。
洞爺湖畔に宿を取り、翌朝、部屋のカーテンを開けると今度は窓の外に湖の景色が広がって、心身共に癒された休日となりました。
上=北海道有数の観光地、洞爺湖。日本百景に登録され、支笏湖と並ぶ北海道の不凍湖としても知られています。左下=伊達カントリー倶楽部にて。右下=洞爺湖温泉の老舗ホテル、洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラス。湖を眺めながら、日帰り入浴も可能です。
指揮者や演奏家にはゴルフ好きな人がけっこういます。面白いのは担当している楽器によって性格がはっきり出ること。なかでも金管楽器、とくにホルン奏者はゴルフ向きの人が多いと私は思っています。
ホルンは複雑な構造をしていて、金管の中でもとても難しい楽器といわれています。そのせいか奏者は理論派タイプの人が多く、ゴルフも理屈から入るようなところがあるんです。あくまで私の主観ですが、でも、実際に上手な人がすごく多いんですよ。
同じ金管楽器でもトランペットになるとサバサバした感じの人が多い感じがします。刻んでスコアメイクするよりも飛ばしに賭けるタイプです(笑)。
一方、バイオリンは、オーケストラの中ではファーストバイオリンとセカンドバイオリンに分かれていて、同じ楽器でもそれによって性格が違ったりします。
ファーストバイオリンの人はメロディを弾くことが多いので、どちらかというとマイペース。私がいるセカンドはヴィオラやチェロといった他の弦楽器にもアンテナを張り、メロディをうまく乗せられるように調和させるのが得意だったりします。だからラウンド中もカートを進めておいたり、パターを持ってきてあげたりと気を遣うんです(笑)。
ただでさえ性格が出るゴルフですが、オーケストラの仲間とのラウンドは個性がはっきり表れて面白いですよ。
仕事は完全にインドアなのでゴルフ場で過ごす時間はとても貴重。コースを歩いているだけでもリフレッシュできます。白ティからまわるようにしているのでスコアはなかなか伸びませんが。
ゴルフは大学の授業で始めました。私達の代で初めてゴルフの授業が導入されたんです。夏の間、1週間合宿に行くと単位がもらえるというので、当時はまったくの遊び感覚。その頃は30数年も続く趣味になるとは思っていませんでした。
バイオリンは父がアマチュアで弾いていた影響で、5歳の時に始めました。父はゴルフも大好きで、祖父が東京ゴルフ倶楽部の会員だったのでよく一緒に行っていました。
私も何度か連れて行ってもらいましたが、グリーンが全部砲台で本当に難しいコースだったという印象があります。女性は相続できないので父の代で終わってしまいましたが、あれが今あったらなと思うと、ちょっと残念な気がします。
好天に恵まれた5月の北海道で羊蹄山をバックに。ゴルフ以外は家の中で過ごすことが多く、お裁縫が好きなのでいつも何か作っています。写真は先日作ったパターカバーとシューズケース。
私達のオーケストラはシンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両方の機能を持っているのでオペラやバレエの公演も多く、長いものになると1公演で5時間くらいかかります。
その間、体力と集中力を切らさないためにも日頃のメンテナンスは大切。演奏家はバレエを習ったりジムに通ったりと各自さまざまな方法で体を鍛えています。
私はピラティスを続けています。ずっと同じ姿勢でいると凝り固まってしまう首や背中、腰をほぐして、バランスを整える効果があるんです。
体に余計な力が入ると楽器はいい音で鳴りません。これは、ゴルフで力みが入ると飛ばないのと似ています。いかに脱力するか、体幹をうまく使えるかが重要なんです。
グランピングとワイナリー
長崎県の野母崎ゴルフクラブ。市街地から近いのに自然豊か。海の景色を満喫できるコースでした。
最近は夫と2人で出かけることが多く、先日も長崎の知り合いを訪ねた帰りに野母崎ゴルフクラブでプレーしてきました。市内からのアクセスがよく、初めてのドライブでも行きやすいシーサイドコースです。
かつて女子トーナメントを開催したこともあるというコースはさすがに手ごたえがありましたが、すべてのホールから海が見えて景色は最高でした。
長崎を訪れたのは2月。ランタンフェスティバルの期間中だったので市内のあちこちに極彩色のランタンが飾られていました。
千葉の御宿にあるキャメルリゾートでグランピングができると聞き、2人で行ったこともありました。ラウンドしてグランピングして次の日にもう1ラウンド。1泊で2ラウンドできるのが近場のコースのいいところです。
コースに隣接した敷地にドーム型の客室が点在していて、それぞれバーベキューサイトも付いています。食材は全部用意してくれるので私達が持って行ったのはお酒だけ。食事の最後に飲むウイスキーも旅の必需品です。そこにチョコレートが添えてあったら、もう何も言うことはありません。
雰囲気がよく、キャンプと違って室内はエアコン完備。とても快適でした。右はウイスキーを入れるスキットル。長年愛用しています。
山梨の笛吹川温泉の宿も快適でした。坐忘(ざぼう)という名前の温泉旅館で、1891年(明治24年)創業のワイナリー、まるき葡萄酒と提携しているんです。
滞在中はワイナリーの見学ツアーに参加してガイドツアーや試飲、ショッピングを満喫。畑では雑草を食べる羊が放牧されていて、自然に配慮した栽培が行われていたのが印象的でした。
旅館の本館には広々としたライブラリーがあり、そこにもワインが置いてあるんです。グラスを傾けながら好きなだけ本を読んで、夜はお食事処で和食とワイン。朝食には手打ちそばが出てきます。温泉もよく、ゆったり過ごすことができました。
海外で暮らす姉夫婦と一緒に笛吹川温泉へ。左上はまるき葡萄酒のワイナリー。右上はワインと共に読書を楽しめる坐忘のライブラリー。
日本の老舗ワイナリー
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牛久シャトー(茨城県)の神谷傳兵衛記念館・地下セラー。
Find Information
- 伊達カントリー倶楽部
- 18H 6872Y P72
開場/1973年 設計/丸毛信勝
噴火湾と駒ケ岳を望むフラットな丘陵・林間コース。コース状況、天候によりナビ付乗用カートでフェアウェイへの乗り入れが可能。新千歳空港から車約90分、登別温泉から40分、洞爺湖温泉から20分。
- 洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラス
- 洞爺湖を望む老舗ホテル。インフィニティ露天風呂やサウナを備え、日帰り利用も可能な温泉は神経痛、筋肉痛、関節痛などに効能のあるナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。新千歳空港から約90分、札幌市中心部から約2時間。
- 野母崎ゴルフクラブ
- 18H 6622Y P72
開場/1997年 設計/加藤俊輔
長崎市内から20km・約30分。野母崎半島の先端に位置するシーサイドコース。すべてのホールから海を望み、世界遺産・軍艦島を見ながらのプレーも楽しめる。98年に女子ツアーの五洋建設レディースを開催。
- 笛吹川温泉 坐忘
- 『まるき葡萄酒』のワインを楽しめる温泉旅館。三千坪の敷地に露天風呂付きの和洋室がある本館と別邸、数寄屋造りの離れが点在。古民家を改装した食事処では茶料理と甲州ワインを味わえる。
- 東京フィルハーモニー交響楽団
- 1911年創立。日本で最も古い歴史と伝統を誇るオーケストラ。今年6月23日にフランチャイズホールであるBunkamuraオーチャードホールで開催される定期演奏会が第1000回を迎える。名誉音楽監督チョン・ミョンフン、首席指揮者アンドレア・バッティストーニ。