2021.11.18

[vol. 047]

オンとオフのゴルフ


旅するひと = 森下 公則もりした・きみのり

1964年広島県出身。ファッションデザイナー。2003年春夏コレクションで自身の名を冠したブランド『kiminori morishita』をスタート。東京コレクションでの発表を経て2007年からパリコレクションに参加。世界各国での評価を受け、20カ国70店舗以上のメインストアで販売される。2009年パリのメンズコレクションで新ブランド『08sircus』を発表、2012年ウイメンズの展開をスタートさせた。ゴルフ歴20年、ハンディ2。

競技ゴルフとクラチャン

樹齢を重ねた黒松の林に囲まれた江戸﨑カントリー倶楽部。ここが私のホームコースになりました。

ゴルフに本格的に取り組むようになったのはこの10年ほど。ある方から競技ゴルフという世界があることを教えていただいたのがきっかけでした。それまで遊びで何度かコースに出たことはありましたが、今度はまったくの別次元。真剣に取り組むゴルフのなんと楽しいことか。見事にハマりました。早速ホームコースを探して茨城県の江戸﨑カントリー倶楽部に入会し、時間を見つけては月に5~6回は通ったと思います。

倶楽部競技にも可能な限り参加して、週2回の練習を続けていると、ハンディキャップがどんどん減っていきます。そして、2019年の倶楽部選手権でついに優勝。関東シニアに出場することもできました。
思い出深いのは倶楽部対抗の選手に加えていただいたことです。そこはルール・マナーを重んじ、対戦相手に敬意を払い正々堂々と戦う、真のスポーツマンシップが問われる場だったように思います。実に貴重な体験でした。

左:関東倶楽部対抗にて。朝の練習グリーンにも張り詰めた空気が漂っていました。右:江戸﨑カントリー倶楽部の東コース8番(上の写真も)。セカンドで左の林が緩やかにせり出し、2オン狙いか3打目勝負にするかの決断を迫られる。何度挑戦しても面白いパー5です。

江戸﨑はメンバーの知り合いがいた関係で、以前からたびたびゲストとしてラウンドしていたゴルフ場でした。昭和39年開場のコースは樹木がどっしりとしていて景観がよく、何度ラウンドしても飽きることがありません。一見するとゆったりと造られた林間コースですが、「さあ、打ってきなさい」という誘いに乗って少しでもルートを外れてしまうと、途端にシビアな状況に陥ります。グリーン周りやグリーンのアンジュレーションも大げさに造られておらず、それがかえって難しい。切れそうで切れなかったり、切れなさそうで切れたりと、微妙なところがたまりません。

コースに隣接して競走馬・乗用馬の共同調教施設があり、東コースの3番ホールのあたりから時々トレーニングしている馬が見えたり鳴き声が聞こえたり、そんな面白い体験もできますし、ブランド野菜の江戸崎かぼちゃをはじめとする野菜やお米もおいしい。とてもチャーミングなところだと思います。

北海道リベンジ

北海道クラシックゴルフクラブ。二クラスの代表作に挙げられ、コースランキングの常連にもなっています。

それほど頻繁ではありませんが、北海道のゴルフ場にも機会を見つけては出かけています。北海道クラシックゴルフクラブ、御前水ゴルフ倶楽部、札幌国際カントリークラブ・島松コース、札幌ベイゴルフ倶楽部etc.……。洋芝のフェアウェイはナイスショットができればターフがきれいに飛んで気分がいいですし、ちょっとでもダフり気味に入ってしまうと結果にはっきり表れる。野芝のようにヘッドが滑ってミスをカバーしてくれることがないので、常にシビアなショットが要求されるところも気に入っています。

かつてこんなことがありました。それまでとても調子がよく、ホームコースで70台前半を出し続けていた私は意気揚々と、仲間と一緒に北海道ゴルフの旅に出かけました。ところが、北海道クラシックで出したスコアが98。北海道のコースを甘く見ちゃいけないと思い知らされる結果となりました。

左:札幌国際 島松コース。右:鳴沢ゴルフ倶楽部の名物ホール、8番パー3。鳴沢はフェアウェイにブルーグラスを使用しています(コース写真はいずれも本人撮影)。

帰京後は洋芝対策に専念することにしました。東京近郊で北海道と似た洋芝フェアウェイのコースを探し、山梨県に鳴沢ゴルフ倶楽部があったことを思い出して、幾度となく通い詰めました。そして3年後、北海道に行くチャンスが再び訪れ、ようやくリベンジを果たすことができたのです。
トーナメントが開催されるようなコースにはやはり一筋縄ではいかない難しさがありました。いずれまた挑戦をしに行きたいと思っています。

北海道クラシックゴルフクラブはオールベント。グリーンにペンクロスなど、フェアウェイにペンウェイなどをブレンドした芝が使われています。

旅の相棒

星のや軽井沢にて。

競技以外のゴルフはリゾート地に出かけ、ひたすらのんびり過ごします。行先は、犬を飼っていたので基本的に犬と一緒に行ける場所。なかでも秋から冬にかけての軽井沢はおすすめです。人が少なく、木々の緑はありませんが10~11月のひととき、見事な紅葉を楽しめます。
宿は星のや軽井沢。ここには犬と一緒に泊まれる部屋が1部屋だけあるんです。滞在中はメインダイニング『日本料理 嘉助』の個室を用意してくれて、ペット同伴で本格的な懐石料理を味わうという、他ではなかなか体験できない時間を過ごせます。

軽井沢72ゴルフの隣にある練習場や馬越ゴルフコースもよく行きました。馬越は手引きカート使用の9ホール。好きな時間にのんびりとプレーを楽しめるのもリゾート地ならではだと思います。

左:軽井沢ゴルフ練習場。打席の後ろまで車で入ることができます。中:水を囲むようにして離れの客室が点在する星のや軽井沢。右:蕎麦店のせきれい橋 川上庵。ウッドテラスのテーブル席は居心地がよく、ついお酒も進みます。

秋から冬にかけての軽井沢は天気のいい日が多く、東軽井沢あたりまで少し足を延ばせば通年営業しているゴルフ場もあります。星のや軽井沢の近くにあるハルニレテラスという商業施設には犬連れで入れるおいしいお店が多く、なかでも旧軽で人気の蕎麦店、川上庵の支店にはよく行きました。蕎麦のおいしさは言うまでもありませんが、煮込みや野沢菜、鴨ロースの焼物など、お酒のアテが絶品です。
新緑や紅葉の頃とはまた違った景色を見せてくれる季節はもうすぐ。年末年始を静かに過ごすのもいいものです。

星のや軽井沢の晩秋は風情たっぷり。大正時代から続く源泉掛け流しの温泉も格別です。

洋芝フェアウェイを楽しめる 東西4コース
  • 西那須野カントリー倶楽部
    ティ、フェアウェイ、グリーンにベントを使用。冬季クローズなしで通年楽しめる。設計はロバート・ボン・ヘギー。隣接するホウライカントリー倶楽部も洋芝コース(ブルーグラス)。
  • 太平洋クラブ市原コース
    フェアウェイにケンタッキーブルーグラスを採用したエバーグリーンコース。過去にデサントクラシックなどが開催された。グリーンは御殿場より速いかもといわれるほど超高速。
  • 滝野カントリー倶楽部 迎賓館コース
    ティフトンに冬期はベントをオーバーシード。最大高低差10メートルとフラットで広大な敷地の随所に池を配し、なかでもフィニッシングホールの景観は見事。
  • 六甲カントリー倶楽部
    有馬温泉の麓に広がる丘陵コース。夏はティフトン、冬はペレニアルライグラスのフェアウェイは広々としてほぼフラット。ほとんどのホールでティからグリーンを見通せる。
Find Information
江戸﨑カントリー倶楽部
36H 東7062Y 南6685Y P144
開場/1964年 設計/小林英年
過去に日本プロシニア、東鳩レディス、デサントクラシック、富士フイルム シニア チャンピオンシップなどを開催。松とバンカーの配置が絶妙で距離もたっぷり。
北海道クラシックゴルフクラブ
18H 7059Y P72
開場/1991年 設計/ジャック・ニクラス
新千歳空港から約20分。ニクラスが故郷ミュアフィールド・ビレッジをイメージして設計したオールベントコース。2018年に日本プロゴルフ選手権が開催された。
鳴沢ゴルフ倶楽部
18H 7017Y P72
開場/1993年 設計/塩田勇昭 監修/ブライアン・ジョーンズ
富士山麓に広がる林間コース。林と洋芝フェアウェイ、随所に配した池のコントラストが美しく手ごたえも十分。19年まで女子ツアー競技の舞台にもなった。
馬越ゴルフコース
9H 2565Y P34
軽井沢72ゴルフの一部だった9ホールを手引きカート使用の手軽なコースに。予約不要で1人でもラウンド可能。11月29日から冬期クローズ。
星のや軽井沢
「谷の集落に滞在する」をコンセプトにした滞在型リゾート。浅間山麓の豊かな自然の中、日常を忘れて休息できる。全77室。通常は2泊から。
ハルニレテラス
清流に沿って自生していたハルニレの木立を生かし、建物を広いウッドデッキでつないだ“小さな街”。16の個性あるショップやレストランが並ぶ。
Pickup Item

緊急事態宣言が明けて、遠方のゴルフに出かけやすくなりました。未知のゴルフ体験はオノフグッズとともに。