死に瀕する交通事故から再起し、グランドスラムを達成したベン・ホーガン。彼は自らのゴルフを語りたがらなかったために、その卓越したゴルフテクニックは長い間、「ザ・シークレット」と言われていた。
しかし、その封印が解けて、彼の技術が『モダンゴルフ』となって世に出るや、史上空前のベストセラーとなった。だが、その技術はあまりにも上級者のためのものであったため、その評価は決してよろしいものではなかった。
ホーガン自らも「アベレージゴルファーにはクソの役にも立たないだろうし、ヘボゴルファーが私の言う通りにしたらゲームがむちゃくちゃになってしまうだろう」と語っている。
実際、フックに悩んでフェードを習得したホーガンのスイングを真似しては一生スライス病を脱出できないというわけである。
我々がホーガンから学ぶ金言は、実は『モダンゴルフ』にはない以下のことである。
「朝起きたら、クラブを1本、できればウッドを手にとる。両足を揃えた姿勢で、両腕を脇腹につけたまま、出来るだけ両腕が体から離れないように、前後10cmの短いスイングを始める。そのあと一振りごとに30cmずつスイングを大きくしていく。常に体から両腕を話さないようにして、フルスイングで振れるようになるまで、毎日20分練習することである」
ホーガン自身、毎日、パジャマ姿でこの練習を必ず行っていた。誰でもできる練習。しかしだからこそ、やり続けるのは容易なことではない。