プロゴルファーとして、プロ魂というものを常に抱いていたウォルター・ヘーゲン。
魅せるゴルフに徹し、派手なファッション、派手なプレーで、ゴルフファンを魅了した。
ドライバーショットは個性的な変則打法で豪快に飛ばしたが、大きく曲げることも多かった。
しかしトラブルからミラクルショットを放ってグリーンに乗せることも平気の平左。グリーンを外しても抜群の寄せとパットでパーをもぎ取って、相手を意気消沈させてしまう。
グリーンから遙か遠くからのショットでも、ピンまで歩測して、キャディにピンフラッグを持たせた話などは特に有名である。
明朗快活で饒舌で、それでいてお洒落。笑顔が絶えない余裕のプレーぶりは貫禄十分で格好良かった。
そんなダンディなヘーゲンが実はとてもロマンティックな男でもあった。ミスショットを犯したときにこう言ったのだ。
「ほんのしばらくの間だけだ。焦るな、くよくよするな。そして途中の花の匂いを嗅ぐのだ」
ひどいミスを犯せば誰でもパニックに陥る。ミスを引きずるものだ。
では、どのように気分転換するのか。
コースに咲いている花の匂いを嗅げとヘーゲンは言う。そうだ。これほど気分が良くなることはないだろう。
ミスショットの多かったヘーゲンはこうも言う。
「誰でも1回のラウンドで4つのまずいショットを出す可能性がある。だから、ミスショットが出ても、あと3回出るまでは気にしないで心から追い出すことだ」
我々ダッファーなら10回のミスショットは気にしないことだろう。