ジャック・バークは1959年にマスターズと全米プロを制し、一躍時の人となったテキサスマン。
テキサスの男といえばワニより強い大男を想像するが、バークは身長170cmという小柄な男で、正確なショットと巧みなアプローチが持ち味だった。
父親のジャック・バーク・シニアも強かったプロで、1920年の全米オープンで準優勝している。ジュニアは3歳のときに、父のシニアからゴルフの手ほどきを受け、19歳でプロに転向。
しかし、すぐに戦争が始まり、海軍に入隊。戦後はツアーが始まるまでティーチングプロとして働き、このときの経験が生かされて、ツアー引退後はフィル・ミケルソンらを指導、多くのチャンピオンを育てている。94歳になる今も現役のティーチングプロである。
そんなバークだからこそ多くの格言を残してきたが、バンカーショットのものもある。それが「バンカーショットは最もやさしいショット。なぜなら、ボールを打たなくていいのだから」というもの。
バンカーからなかなか脱出できなくて顔面蒼白になった人も少なくないと思うが、バークは次のように説明する。
「バンカーショットはアバウトに打つほうがいい。だからボール手前数センチなんていうのではなく、10cmくらい手前を思い切って打つ。そうすればホームランにはならないし、砂をたくさん飛ばすことになって、その勢いでボールも一緒に飛び出す。ただし、あんまり深く掘り過ぎてはいけない。できれば砂をサーッと薄めに取る。そうすれば、ふわふわの砂だろうが、濡れた硬い砂でも確実に出るからね」
こうしたバンカーショットはエクスプロージョンとは呼ばない。スプラッシュと呼ぶ。よく、バンカーショットは「1ドル札を弾き出せ」というけど、まさにそうしたショットをすれば良いのだ。