パッティングではヘッドアップをしないように、「カップインの音を耳で聞け」と言ったりするが、実はこれ、100年以上も前にジャック・ホワイトというスコットランドのプロが残した言葉、「耳でパットせよ」が基になっている。
ホワイトは1873年にスコットランドに生まれたプロゴルファーで、叔父は小柄ながら活躍したベン・セイアーズ。その叔父に10歳からゴルフを習ってプロになった。
パッティングが得意で、そのためにマッチプレーにはすこぶる強かった。全英オープンにも早くから挑戦し、26歳の1899年には2位になっている。このときの優勝者はバードングリップで有名なハリー・バードンだった。
ホワイトはその後も全英オープンに4位、6位、3位という好成績を挙げ、遂に1904年、31歳で念願の初優勝を遂げる。ちなみにこのときの2位はジェームズ・ブレイドとハリー・テイラーという強豪だった。
ホワイトの優勝スコアは296ストロークで全英オープンの新記録であり、史上始めて300ストロークを切る快挙であった。それも入れ頃外し頃のパットをしっかりと沈めたからだ。
パッティングの最もしてはいけないのは頭が上がること。特に2mくらいのパットは入るかどうかが気になって、思わず顔を上げてボールを見てしまうもの。
しかし、ヘッドアップしてはフェース面がスクエアにはならず、押し出しや引っかけのミスが出てしまう。ボールを打った後もボールのあったところを見ておくぐらい、律することが肝心なのだ。
ホワイトはクラブ作りも素晴らしく、彼がデザインしたクラブは人気があった。ボビー・ジョーンズも気に入って購入し、メジャーに11勝もしたことは、知る人ぞ知る有名な話である。