
アメリカのゴルフ史でこれまで最高に人気があった選手といえば、アーノルド・パーマーだ。何せ、アーニーズ・アーミーなる応援団を引き連れて試合をしていたのだから。全盛期のタイガー・ウッズだって、そんな応援団はなかった。
なぜにそこまでパーマーに人気があったかといえば、常に思い切りボールを叩き、常にピンを狙ったから。
これを「パーマーズ・チャージ」と呼ぶが、ギャラリーはいつもハラハラドキドキして、その成功を祈っていたのだ。成功すればぶっちぎりの優勝、失敗すれば奈落の底。でも、成功することが多々あったから、パーマーは絶大な人気を誇ったのだ。

しかし、ギャラリーが期待するだけに、思わず見栄も張ってしまう。1966年の全米オープンでは、最終日、前半のハーフを終えた時点で2位のビリー・キャスパーに7打のリード。絶対に勝てると思ったパーマーはそれまでベン・ホーガンが保持していた全米オープン最少記録を塗りかえたくなる。無理を承知で攻め続けて、2位のキャスパーに追いつかれ、翌日のプレーオフで敗れてしまう。2度目の全米オープン優勝をフイにしてしまったのだ。
パーマーの言葉、「ちょっとした見栄が、すべてを台無しにする」というわけだ。
とはいえ、’60年の全米オープンでは、最終日に7打差をひっくり返して初優勝を成し遂げている。
チェリーヒルズ1番のパー4では、いきなりワンオン。これと同じことを2014年のBMW選手権の練習日に、パーシモンウッドとバラタボールでトッププロが挑戦するが、マキロイをはじめ誰もグリーンに乗せることはできなかった。
恐るべし、パーマーである。