2018.8.23

冷徹、超然としたプレースタイルで「ザ・ホーク(鷹)」と呼ばれていたベン・ホーガン。鷹が獲物を狙うように勝利をものにした。メジャー9勝、ツアー64勝。それも第2次世界大戦と、再起不能と言われた自動車事故もあっての勝利数だ。

ホーガンがそれほど強かったのは、常に正確なショットを追い求めたから。そのために毎日の練習を己に課した。その日のプレーが終わったらシャワーを浴びてビールを飲む。そうしたツアープロの世界を、試合後に練習する世界に変えたのはホーガンだ。

ホーガンは18ホール、完璧なラウンドをしたあとも練習場に直行してボールを打った。1000球は打ち、今よりも良い球を打つための研究に余念がなかった。プロデビューした20代は首に腕が巻きつくようなひどいスイングでダッグフッカーだったが、ウイークグリップとクローズスタンスでパワーフェードに変えたのだ。

ホーガンは次のように言って猛練習を積んだ。

「人間のスイングはそもそも不純物にまみれている。たくさんボールを打って洗練されたものになる」

さらにこうも言っている。

「3日と言わず、2日を空けて、ボールを打たなかった日は1日もない。なぜなら、3日休んでしまうと、元に戻すのに1カ月から3カ月はかかる気がしたからだ。だから、練習する必要があった」

しかし、ホーガンは練習すること自体が好きだった。

「私は練習が好きだった。練習するのが最高の楽しみだった。試合に勝つことや遊ぶことなどよりも楽しかった」

この言葉はとても我々凡人には信じられないものに聞こえる。しかし、ただ練習するのではなく、工夫を凝らした「考える練習」を行えば、練習すること自体が楽しくなるということなのだ。

BEN HOGAN

1912年8月13日アメリカ・テキサス州生まれ。1997年7月25日逝去。170cm、64kg。11歳でキャディを始め、17歳でプロに。破竹の勢いで勝ち続けたが、1949年に瀕死の自動車事故に遭うが、1950年に全米オープンに優勝し、奇跡のカムバックを成し遂げる。1953年にはマスターズ、全米、全英オープンに優勝。メジャータイトル9つ。