
グランドスラムを達成し、28歳の若さで引退したボビー・ジョーンズ。球聖と謳われたジョーンズも、若い頃は飛距離を求め、なかなかメジャーを制することはできなかった。
特にジョーンズはドローボールが持ち球だったため、ドライバーショットはランが出て、300ヤード以上も飛ぶことがあったが、アイアンショットはグリーンに止まらず、ピンチになることが多かった。
それは当時のゴルフコースがスプリンクラーなどなく、フェアウェイやグリーンは乾いてしまうと異常なほど硬くなってしまったからだ。
せっかくドライバーで飛ばしても、アイアンでグリーンに止められなければバーディはおろか、パーさえ取れなくなる。
そこでジョーンズが考えたのが、柔らかく打つこと。これをソフトショットと呼んでいたようだ。

ジョーンズの言った言葉が残っている。
「私は常に適当と思われるより大きいクラブを手にとって、ボールを柔らかく打つようにした。私はアイアンを力一杯打たないことによって成功したのだ」
今では強く打てばスピンがかかって止まるようにも思えるが、当時の硬いグリーンではスピンが解けてしまい、強く打ったドローボールの勢いが勝って、グリーンオーバーしてしまう。柔らかくボールを打って、ふわりとグリーンに落としたほうが止まったということなのだ。
しかも大きめのクラブで打てば、力むことがなくなり、スムーズにクラブを振ることができる。スイングが良くなり、ミート率も方向も良くなって、ピンを刺すようなショットが打てるようになる。
ジョーンズが自ら「成功」と語るゴルフができるようになったのだ。