
ミシシッピー大学時代、学問では歯科を学び、ゴルフ部ではオールアメリカンとしても活躍する文武両道の人だった。
そんなミドルコフ、卒業後は故郷テネシー州メンフィスで歯科医をしていたが、アマチュアとしてツアーにもときどき参戦、なんと’45年に優勝してしまう。これを機に、26歳でプロに転向した。
歯科医のドクターからついた「ドック」のニックネームで親しまれ、クレバーなコース攻略で、’49年にはサム・スニードに1打差で競り勝って全米オープンに優勝。
’55年には天下無敵の鉄人ベン・ホーガンに7打差もつけてマスターズに優勝。このときは13番グリーンで25mをぶち込んでイーグルを奪っている。翌’56年にもベン・ホーガンに1打差をつけて全米オープン優勝の快挙。PGAツアー通算40勝の凄いゴルファーだった。
ミドルコフはパッティングに絶妙の勘があり、曲がる難しいラインでも見事に放り込んだ。

「どうしてそんなに上手くラインが読めるのか」と聞いたところ、「ファーストインプレッション(第一印象)を大切にしている。変えると大概失敗する」と答えた。
人間も動物。故に動物的な勘が誰にでもあるわけだが、ゴルフではパッティングでそれを使うのが特に大切だという教えである。
’20年に全英オープンに優勝するなど、名手として名高いジョージ・ダンカンも「パットのラインは、最初に感じたものが一番正しい。考えれば考えるほどラインが増えて、ついにはわからないまま打つことになる」と言っている。
パッティングでは、ボールを置いてラインをイメージしたら、最初に感じたインスピレーションを大切にする。パットにフォームなしと言われるが、それは理詰めで入るものではないという証だ。
パッティングでは理性よりも感性を信じることなのである。