
トラヴィスはアメリカのゴルフの草創期に活躍したアマチュアゴルファーである。1896年の35歳のときにゴルフの神様から啓示を受けて初めてクラブを振り、その僅か2年後には全米アマでベスト4に残るほど実力を上げ、さらにその2年後にはこの全米アマタイトルを取得してしまう。
熟年からゴルフを始め、知性豊かであったことから「ジ・オールドマン」と呼ばれ尊敬を集めた。また、進化したゴルフ用品を即座に取り入れる斬新な思考の持ち主であり、1901年の全米アマでは、糸巻きの原型とも言えるハスケルボールを使って2度目の優勝を果たす。さらにその翌年の全米アマにはアルミ製のマレット型センターシャフトのパターを使って3度目の優勝を成し遂げてしまうのだ。
この新しいパターは誕生した場所の名を取って『スケネクタディ』と呼ばれ、トラヴィスは魔法のようにパットを沈め、その翌年の1904には全米アマだけでなく、全英アマにも優勝してしまうのだ。

全英オープンも全英アマもこれまですべて英国人が勝ってきた。全米オープンも然りだったが、トラヴィスは遂に全英アマで初のアメリカ人のメジャータイトルホルダーとなったのだ。しかし、トラヴィスの優勝によって威信を傷つけられたR&Aはマレット型のパターをルール違反にしてしまう。
トラヴィスはパターの名手といわれるが、それはこのマレットパターの使用だけでなく、練習グリーンに本来のカップよりも小さなカップを作って練習するといった工夫があった。だからこそ「パットを制する者は世界を制す」という言葉は時代を超えて今尚語り継がれている。そんなトラヴィスは若きボビー・ジョーンズにもパッティングを教えたことで知られている。