
ジャック・ニクラウスと同郷のオハイオ州に生まれたゲイ・ブリュワーは、真面目な性格とマナーの良さで、30年以上に渡り、USツアーで尊敬された名選手である。
1956年、24歳でプロゴルファーになったが、初優勝は5年を経たカーリングオープン。しかしその後はハワイアンオープンなどコンスタントに勝ち星を挙げ、’66年にはマスターズで大活躍。最終日は一時、ニクラウスに3打差をつけて首位に立つほどだった。しかし最終の18番でショートパットをミスし、ニクラウスとトミー・ジェイコブスに並ばれ、翌日のプレーオフで破れ去った。
しかし、パットは苦手だったものの、ループを描く独特のスイングからのショットは素晴らしく、翌’67年のマスターズで優勝、リベンジを果たしている。

USツアーだけでなく、カナディアンオープンや日本では’72年の太平洋マスターズなど海外でも優勝している。この試合でブラックシャフトを装着したドライバーを使って飛ばしまくったたため、日本にブラックシャフトブームが巻き起こった。シニアツアーでも優勝し、生涯17勝を挙げている。
そんなブリュワーが残した言葉が「まずい1打がスコアを崩すわけではない」というもの。完璧を求めると、たった1打のミスショットでも、怒ったり意気消沈したり、悩んだり考え込んだりするのがゴルフの怖いところである。
ミスショットをしてもその後のショットで取り返せるのがゴルフである。逆に言えば、ゴルフはミスがつきもので、ミスをしないゴルフなどあり得ない。だから喜怒哀楽など表さないで、次のプレーに集中することなのだ。そうすればスコアを崩すことなどないわけで、パットが苦手だったブリュワーだからこその名言である。