『東宝調布スポーツパーク』というゴルフ場をご存じですか? 東京周辺にお住まいの皆さんは懐かしい!と思われるかもしれません。昔はコースデビューと言えばここ。ナイターでゴルフデートを楽しまれた方も少なくないでしょう。
今回はこの東宝調布SPについてお話ししたいと思います。『ゴルフコース』から『スポーツパーク』へと名前は変わりましたが、愛すべき9ホールは今も大いに賑わっています。
昭和生まれの都民ゴルファーにとって、東宝調布はとても身近な存在です。ゴルフを始めると決まって諸先輩方から「本コースに出る前にまず東宝に行け」と言われたものでした。調布インターからおよそ5分の平坦な土地に9ホールのコースと練習場が誕生したのは今から52年前。もとは映画の撮影所や関連施設があった場所でした。
かつて大きな映画スタジオが点在したことから、調布は別名“東洋のハリウッド”と呼ばれていたそうです。当時の来場者には映画関係者が多く、調布に拠点を置いていた石原プロの俳優さん達がしばしばコースや練習場に遊びに来ていたという話も残ります。
現在は防球ネットの外側にお洒落なマンションが建ち並んでいますが、昔の航空写真を見ると屋並のところどころに畑も見えて、のどかな景色が広がっていたことが想像できます。
東宝調布SPに勤めて24年のベテランスタッフ・佐藤さんによると、初期の頃から来ている方が今も数名いらっしゃるとか。「3番ホールのバンカーはその昔、池だったんだよ」といった貴重なお話をしてくださるそうです。
そしてここは照明付きゴルフ場の先駆け的存在でもありました。現在も年間を通じてナイター営業を行っており、19時28分までスタートが可能です。
手引きカートでまわるプレースタイルは開場以来、変わっていません。
分類上はショートコースですが、ドライバーが使える300ヤード以上のホールが2つあり、しかも、小さくて速めの砲台グリーンとグリーン周りがとびきり難しいと来ています。
「ここでスコアをまとめられたら大したもの」との諸先輩の言葉は今も立派に通用しているのです。
グリーンは今から15年ほど前にベントとティフトンの2グリーンになりました。昨年来、進めてきたニューティフトンへの移行も今年5月に完了する予定で、グリーンのクオリティがさらに向上したと評判です。「距離では太刀打ちできませんが、グリーンだけは本コースにも負けないように努めています」と、佐藤さんは胸を張ります。
2019年にクラブオノフのレディ限定イベントを開催したり、その後、飯島茜プロによるレッスンアカデミーが開講したりと、オノフとのご縁もあるコース。先日、私も久しぶりにラウンドする機会がありました。ご一緒したのは日刊スポーツの久保田さん。ゴルフ通で知られるベテラン記者さんです。
グリーン周りの難しさ、グリーンの転がりの良さは評判通りでした。多摩川を渡ってくる風を読み、小さいグリーンに止めるのは至難の業。風と仲良くなって思い通りに運ぶことができたのは、最後の9ホール目になってからのことでした。
カートを引きながらゆったりとコースを楽しんで、ホールアウトまでおよそ1時間30分。時間が空いたら「ちょっとゴルフでも」と出かけられる手軽さで、しっかり手ごたえも感じられるのは大きな魅力だと感じました。
コースに隣接する練習場は230ヤード・60打席のドライビングレンジと天然芝のアプローチ、バンカー練習場が揃っています。週1回行われている飯島茜プロのスクールは2カ月・8回で1クール。キャンセル待ちが出るほどの人気です。
また、東宝調布SPは会員制のテニスクラブも有名で、コート16面を備え、優秀な選手を数々輩出しています。
クラブハウスは明るく快適で、カフェでくつろぐご家族連れの姿もありました。
最近は1人でゴルフを始める人や、長いブランクを経てゴルフに復帰する人が増えているそうです。一緒に行く仲間や教えてくれる人が見つかりづらいという声も耳にしますが、東宝調布SPでは毎月開催しているシニアコンペやラウンド会を通じて顔なじみになる人が多く、仲間の輪がますます広がっていると聞きました。
単に上達のためでなく、健康のため、スポーツを楽しむために人が集まる。スポーツパークという名前はまさにぴったりの場所だと思います。
機会があったら早朝の練習場にも行ってみてください。早朝打ち放題をやっている6時から7時頃、2階の真ん中あたりの打席から右斜め前方にきれいな富士山を望めます。佐藤さんはじめスタッフの皆さんも仕事の合間の楽しみにしているそうで、冬の時季は特におすすめです。
文/オノフ担当 朝岡郁雄
link information
- 東宝調布スポーツパーク
- https://www.tohochofu-sportspark.com/