2022.3.30

[vol. 06]

ONOFFの世界観と、ある職人さんの話


ジャパンゴルフフェア(JGF)が今年も無事に終了しました。オノフのブースにお立ち寄りいただいた皆様、配信などを通じてご覧いただいた皆様、どうもありがとうございました。 今回のゴルフカフェはオノフがこの20年間、ブースで表現してきたこと、こだわってきたこと、そしてそれを支えてくれた1人の職人さんについてお話ししたいと思います。

2002年のJGFでのデビュー以来、オノフのブースは一貫して自然の木や草花を使い、原点であるスコティッシュリンクスの空気感を演出してきました。しばしば「独自の世界観がある」、「他メーカーとは一線を画す」と言っていただけるのも、そのあたりに理由があると思います。
出展を取り仕切る小社の担当・大澤は「様々な制限がある中で、いかにして自然に溶け込むオノフのイメージを表現できるか、毎回工夫を凝らしています。そもそもゴルフは自然の中で遊ぶもの。だから、自然のものを使うのは当然のことなのです」と話します。

過去には、葉が青々と茂る大木をブース中央に立て、その木陰に商品を展示したり、クラブハウスを模した小屋を実際に建てたり、また、オノフ ラボカーをイメージした小型トラックを搬入して車内に商品を展示したこともありました。トーナメント会場でプロのサポートをしたり、各地に出向いてカスタムラボを行ったりしている、あのクルマです。
小屋の前は芝が広がり、ラボカーの周りにはサボテンが生え、小道具のバンカーレーキやボールウォッシャーも実物を使いました。

フロアに敷いた天然芝は今やオノフのブースのトレードマークのようになっていて、以前、海外から来場されたお客様が「Amazing!」と目を丸くしていたことも。
今年、会場で無料レッスン会を開いた飯島茜プロは「本物を採り入れる演出にこだわりを感じます。めっちゃかっこいいです!」と話してくれました。

こうした表現方法に欠かせなかったのが、ブースのディスプレイや施工を担当してくれた装飾業者・Hさんの存在でした。およそ20年にわたって部材や設備、植栽、小道具に至るまで揃え、誂え、手作りして、オノフのブランドイメージを形にしてくれました。

小屋を建てる際は風雨にさらされた感じを出すために、また木材を積み木のように重ねたディスプレイを展開した年は木地の味わいを活かすために、ひとつひとつ丹念に加工を施し、会場に届けてくれました。
会期のタイミングに合わせて満開になるよう準備された菜の花畑が出現した年も強く印象に残ります。近づくと花の香りがほんのり漂って、展示会場の中にいることを忘れたほどでした。

Hさんが集めてくれる植物にはスコットランドの川沿いなどで見かけるルピナスや、ハイランド地方の荒野にピンクの小さな花を咲かせるエリカなどもあり、こちらのリクエストに応え、オノフの世界観にぴったりなのはこれというのを常に用意してくれました。そのおかげで皆さんの印象に残るものができたのだと思います。

ディスプレイで使用する小道具のなかには毎回おなじみとなっているものがいくつもあり、なかでも木製のベンチと、ブースの一番目立つ場所に掲げる立体のブランドサインはもう何年も使い続けています。

積み木のような木材を使った際は展示後、解体して小社のゴルフ営業部があるフロアに運び、組み直して、今もお客様を出迎えるコーナーで活躍しています。
自然の素材を使った展示物の数々は使い続けるうちに味わいを増し、役目を終えたら形を変えて再利用したり、土に還すことができるものも少なくありません。

今回のディスプレイはこのあと、福岡と大阪のONOFF LABOSHOP PREMIUM>(オノフラボショップ・プレミアム)で再現することが決まっています。
商品棚の背景に使っている巨大な写真パネルは、カタログ撮影で訪れたスコットランドのリンクスや海。カタログに載せるクラブやアクセサリー類を自然の中でロケーション撮影しているのもオノフならではのやり方です。
JGFにお越しになれなかった皆様も、この雰囲気をお店で体験していただけると思います。

――in memory of Mr. H

文/オノフ担当 朝岡郁雄