2019.03.15
2019年の国内女子ゴルフツアー第1戦「ダイキンオーキッドレディス」が沖縄県の琉球ゴルフ倶楽部を舞台に幕を上げる。チームオノフからはツアー通算22勝の李知姫をはじめ、昨年3勝を飾った黄アルム(新契約)、地元沖縄出身の大城さつき、14年大会覇者O・サタヤの4選手が出場する。開幕戦に向かって今オフをどう送ったのか、そして今季に懸ける熱い思いを話してもらった。
昨季は大東建託・いい部屋ネットレディスで9年ぶりの優勝を挙げ、その後も2勝を飾ってツアー通算優勝回数を4回に伸ばした黄アルム。今オフはタイへ渡り5週間の合宿を行った。「それでも、いつもよりは短かったんですよ。」一旦、母国の韓国に戻った後、福岡県でのラウンド主体の合宿を経て大会開催地の沖縄県に移動したそうだ。
「課題を持ってオフ合宿に臨んだというよりも、いつもどおりのオフトレメニューをこなした感じです。最初はスイング作り、次に長いクラブでのボール打ち込み、ショットが落ち着いてからショートゲーム練習に時間を費やしました。」と黄。昨季の開幕戦では不安を抱えていたそうだが、終わってみれば年間3勝の成績を残している。となれば、さらなる活躍を期待されて当然だろう。
「確かに去年と比べたなら不安はありません(笑)。でも、優勝となれば話は別です。成績を考えるとプレッシャーになりますから。成績は、やるべきことをやっての結果。頑張り続けたなら必ず良い結果につながる。そのことが9年ぶりのツアー優勝で実感できました。」話す言葉に力強さがある。不安がないと笑みをこぼしたのは理由があった。
「2週間前に新しいクラブプロトタイプのドライバーと3番ウッドが出来上がって来て、試したら飛ぶし、球が落ち着いていて、ランも出る。私は感触を重視するタイプですが、新クラブは一発で気に入りました。」強い味方となる武器も加わり、黄は開幕戦に向け万全の準備が整っているようだ。
沖縄県出身の大城さつきも表情が明るい。開幕戦の前週に行われたツアー外競技「UUUM トーナメント リクナビNEXT CUP in 沖縄」で2位の好成績を収めたからだろうか。
「タイで3週間のオフ合宿を終えてからグアム島での試合に出場し、それから沖縄に帰って来ました。その間、練習場へ行ったのは1回。毎日ラウンドばかりしていました。」実戦をイメージしてのコースラウンドが早速成績につながった。
「ドライバーのロフトを10・5度から9度台に調整して頂き、シャフトの長さを1インチ長くして45・75インチの新ドライバーにしたら、飛距離が10ヤード以上も伸びました。アイアンショットの調子も良いんです。NEXT CUP最終日は強風で9ホールに短縮されましたが、それでもパーオンを逃したのは1ホールだけ。あんなに強い風でもショットが曲がらなかったのは心強いです。地元開催の開幕戦が楽しみです。」と大城。実家からコースまで、車で2、30分。自宅通勤で臨む今季第1戦はリラックス感タップリ、もちろん期待感もタップリだ。
14年にはツアー通算2勝目を開幕戦で飾ったO・サタヤ。昨季は賞金シードを手放し、ツアー優先出場順位を競う(QTクォリファイング・トーナメント)では70位に終わってしまった。「QT後はドン底でした。」とサタヤは振り返る。今オフは新しいトレーニングに取り組み、リセット・リスタートを切った。「2週間の休みを作り、釣りを楽しみましたが、実はその間、ゴルフのことを様々考えました。自分にとってゴルフを客観視出来たし、良いリフレッシュにもなったと思います。本来なら(QT70位)出場できそうにないのですが、(歴代優勝者として)推薦出場の資格を頂けたのでこのチャンスを活かしたい。理想を求めず、自分のゴルフに徹してプレーします。」と開幕戦への思いをサタヤは話してくれた。
ベテランの域にあるツアー通算22勝の李知姫は、例年通りの米国合宿を行った。「今年はヘッドスピードアップをテーマにして渡米したのですが、気温が低く、雨続きで思うほど打ち込みが出来ませんでした。ここ10年で初めてのことでしたね。でも、その分ゆっくり体を休められたように思います。(笑)」李のキャディーバッグを覗くとドライバーが2本入っていた。「新しいドライバーをテスト中なんです。構えやすくて、強い球が打てて距離が出る。あとはコースで、試合で試してみてエースドライバーになるかを確認したいです。」ツアープロ担当者によれば、プロトタイプのフィッティングには月日を要するそうだが、今回はシャフトフィッティングも1回でOKが出たという。好感触が李をバックアップしているに違いない。
「今年の目標は賞金女王のタイトルです。そのためには1回の優勝では足りない。複数回、それも3、4勝は必要だと思います。昨年は未勝利だっただけに、まずは1勝目を1試合でも早く挙げたいし、メジャー大会Vも飾りたいと考えています。」ツアー通算優勝回数を伸ばしたなら永久シード獲得も視野に入って来る。「目標は、あえて高く設定しています。」さすがベテランならではの考え方なのかも知れないが、達成の可能性が高い実力者--チームオノフの大活躍を予感させてくれる4選手の明るい表情が印象的だった。
(文中敬称略)