2019.10.25

【特別編】

2019・10・21 黄アルム 優勝インタビュー / INTERVIEW 【特別編】

チーム・オノフの黄アルムがスタンレーレディスで今季初優勝! これまでのチーム・オノフ年間優勝回数3回を更新する価値ある4勝目を挙げた。台風19号の影響で27ホールの短縮競技となった同大会は決勝ラウンド9ホール、ツアー史上初の無観客試合で行われた。予選ラウンドで8バーディー・1ボギー65の7アンダーで首位に立った黄は、決勝ラウンドで1バーディー・ノーボギー35の安定したプレーを展開。隙を見せることなく、見事に逃げ切り優勝でツアー通算5勝目を飾った。優勝者が集う年末のLPGAアワードに去年に続いて今年も出席できることを喜ぶ黄にインタビューした。

- 今季初優勝おめでとうございます。ズバリ、勝因は何だったと思われますか?

まずは、お礼を言わせてください。いつも応援して頂き、本当に有難うございます。勝因として挙げられるのは、ショットでしょうね。パットも、もちろん大切ですが、ショットが良くなければ戦えません。ショットでバーディーチャンスをたくさん作って行かなければ優勝することはできないと思います。

- 今季はショット不振だったそうですが…。

はい。開幕戦から思うようなショットを打ててはいなかったのですが、誤魔化し誤魔化し打っていたような感じでした。しかし、それでも力切れというか、感覚がさらに鈍り、体力も落ちて来てショット不調のどん底になってしまったのです。悔しくて、辛くて涙が零れ落ちたこともあったほどでした。

- その不調のどん底からどのようにして這い上がったのですか。

イメージトレーニングですね。ショット好調だった時の動画を見て、どうスイングしていたのか、スイング動作だったり、タイミングだったり、インパクトの打球感だったり、を思い出し、そのフィーリングを呼び起こすようにしたのです。自宅から練習場までは車で5分くらいの距離なので、良いフィーリングを感じたら「これを試したい!」ってなり、すぐに練習場へ出掛けるようになったのです。
お陰で練習場では真っ直ぐ打てるスイング感覚を取り戻せたのですが、なぜか試合となると打てない日々が続きました。気分転換に優勝した時に使っていたクラブに変えたこともありました。でも、スイングイメージがどこかまだ明確には掴み切れていなかったのかも知れません。
ミヤギテレビ杯を休みにあて、自宅にいたのですが、家族とゴルフの話をすることはありませんでした。イメージトレーニングをしてはスイング調整に努めたのですが、今思えばタイミングの微妙なズレが不振の原因だったように感じます。
ツアーを1週間休んでから臨んだ日本女子オープンで、今年初めて楽に回れたのです。楽とはメンタルの部分での話なのですが、ショットが多少曲がっても気持ちはブレたり、ぐらついたりしなかったのです。「この感覚をもう一週間試してみよう」と思って出場したのがスタンレーレディスだったのです。

- 完全復活の途中というか、その過程で勝てたわけですね。

ショットが好調になりかけ始めたうちに攻めるゴルフをしておかないと、本当にショットが良くなった時には安全な攻めしかできず、攻めるゴルフができないと思いました。ですから「ピンを積極的に狙おう」という強い気持ちでショットに臨みました。

- その結果が8バーディー・1ボギーの65をもたらしての単独トップ発進につながった。台風の影響で試合は短縮競技となり、決勝ラウンドは9ホール。逃げる立場となりましたよね。

そうですね。18ホールのプレーとは違って9ホールとなると、ミスはできない。プレ―の流れが一旦途切れると、それを取り戻すのにはホールが少ないからです。
もし私が逆の立場、追う立場だったら、9ホールしかないのでガンガン攻めるでしょうね。勝つか負けるか。ミスを恐れずに果敢なプレーをすると思います。
決勝ラウンドを迎えるまで、私は計50時間近くも待機状態でした。その間、いろいろなことを考えました。

- 試合の進め方、考え方を、ですね。

はい。結論としては守りながらスコアを伸ばさないといけない立場なので、14番ホール(5ホール目)までは、何が何でもパーだけは絶対セーブしよう。15番ホールのティーショットを上手く打てたら、あとは積極的に攻めに転じようと決めたのです。ピン位置の関係もありましたが、15番ホール以降は攻めやすいと感じたからです。私に幸運があれば、勝てるかも知れないと思いました。実際、15番ホール以降はバーディーチャンスが続きましたし、15番ホールでバーディーを奪えたのが大きかったですね。

- 何番ホールで優勝を確信しましたか。

17番ホールを上がった際、大会関係者に試合状況を尋ねた際、2位とは2打差あることを知った時ですね。これまでのショット不振がなく、思うようなショットを打てたのが最大の優勝勝因です。

- 帯同プロキャディーとの相性の良さもあったと聞きましたが。

オーちゃんこと大溝雅教さんですね。確かにそれもありますね。去年の伊藤園レディス優勝の時もバッグを担いで頂いています。オーちゃんは、メンタル面の駆け引きがとても巧みで上手だと思います。たとえば、前の試合で帯同キャディーをしてもらった際には「うるさい!」と思うほど始終話しかけて来たのです。しかし、スタンレーレディスでは話しかけてこない。「今週はおとなしいのね?」と尋ねたら、「前はアルムが落ち込んでいるように感じたからだよ」って。他人の気持ちを読むのが鋭い方なのです。
実は、以前のスタンレーレディス18番ホールのラフからのショットで誤球のミスをしたことがあったのです。18番ホールのドライバーショットでフェアウエイをキャッチし、2打目を打つ前にオーちゃんがその事件を踏まえて、「今日はラフじゃないから(誤球は)大丈夫だね!」って。思わず笑ったし、気持ちがとても楽になりました。

- 心強い味方ですね。

はい、そうです。特に無観客試合だったのでフェアウエイを捕らえられたのか、グリーンに乗ったかどうかを知る術が少なかった。普段の試合ではギャラリーの拍手や歓声でおおよその見当がつきますからね。ギャラリーの有難さを改めて知ることが出来た一戦だったとも思います。

- 昨年の3勝に続いて、今年の1勝で2年連続Vとなりました。

ありがとうございます。この優勝で年末のLPGAアワードにも出席できます。アワード用にドレスを新調しなければなりませんね(笑)。本当に嬉しいです。

- 1勝で満足せず、複数回優勝を狙ってがんばってください。

はい!もっともっと練習して好成績を挙げられるように努力します。応援もよろしく願います。

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