2019.08.01
チーム・オノフの飯島茜が、トーナメント会場に久しぶりに現れた。今季はシード権を獲得出来ず、レッスンをしながらツアー出場チャンスを待つ日々。これまでのツアー転戦生活とは、また違った充実した時間を過ごして来たという。どこかリフレッシュした表情が印象的だった飯島に近況をインタビューした。
- 今季ツアー第20戦目のサマンサタバサ・レディーストーナメントが、自身にとっては開幕戦になりましたが、久しぶりのツアー会場にやって来た感想から教えてください。
飯島トーナメントがこれから開かれるコースでの練習ラウンドでしたが、疲れますね(笑)。(ショットは)当たったから意外に感覚は忘れてはいないな、と感じましたが、試合なったらまた違うかもしれません。
試合から遠ざかって8カ月ぐらいですよね、シーズン終わってから。時間があっという間に過ぎたようにさえ思います。
- 今季はレッスンを主にした生活に変わったわけですが、ツアーとはあらゆる面で違いを感じているのではありませんか?
飯島他人に教えることで、客観的にゴルフを見られるようになりました。これまでは自分のスイングを一番に考えていましたが、レッスンを行うようになってからは、その人をどうするかが最優先になるわけですから、教えながらも自分自身に対して同じことを問い質すことが少なくありません。自分に置き換えられる。教えたことが自分に返って来る。もちろん、練習しなければクリアーできないこともありますが、教えることで教えられるポイントが多々ありますね。
- 同じチーム・オノフの大城さつきさんは師と仰いでいるそうですが…。
飯島私が選手としてツアーで戦って来たことで、ツアープロの気持ちを理解しやすい。スイングに悩んだり、不安を抱えたりした経験もありますから、アドバイスは送れますよね。それにオノフ合宿を通して結構(スイングや性格を)見ているから、率直に伝えられますが、初対面の人だったらズバズバ指摘したらどんな風になるのかが分からないのでアドバイスするのは難しいです。
「こうした方が良くなるのに」と思ってアレコレ数多くのポイントを一気に挙げても、すべて直すのは大変ですしね。
- そんな「教え子」の大城さんと練習ラウンドした感想は?
飯島「10ヤードは飛距離がアップした」とさつきちゃん自身がそう言っていましたが、彼女は凄く飛んでいました。最高で20ヤードも置いて行かれました。
普段、私がレッスン中もスイング画像を携帯電話で送って来る。コースラウンドならカートに乗りながらそれをチェックできる、結構、融通は利きますが、意外と携帯依存症なくらい、チェックしてあげているんです(笑)。選手なら、今聞きたい!思いが強い。さつきちゃんの性格も分かっていますからね。
- アマチュアのレッスンはどんな風に行っているのですか。
飯島プロになるわけではありませんから、体硬い人にここ動かしてといった指導はしていません。体が動かないなら、プロみたいに「ここを止めて」と言いませんし、止めなくてもいいから「動くところまでまず動かしてみてください」とか。その人に合わせてアドバイスは違って来ます。
教え方の基本としては、私が高校生時代からいろいろな先生に教わって来た経験から、様々な引き出しがあり、その人に合わせたアドバイスを知識の引き出しから出して授けるように努めています。
しかし、ツアープロの立場から教えているのであって、レッスンプロのように教える勉強はしていませんから、その点では敵わないわけですけれど、ツアープロとして学んだこと、実践で培って来たものをレベルに応じて教えられると考えています。
もちろん、スイングの基礎的なことは変わりません。実はアマチュアはそこが出来ていない人が意外に多く、グリップとかボールの位置とかをしっかり教えてあげるだけで随分スイングが変わって来るんです。
基本が一番大事です。とはいってもツアープロでも連戦が続くと疲れが溜まり、それが出来なくなってしまうことも経験しています。感覚が鈍く、麻痺して来る。でも今季は時間に余裕がタップリあるので体が素直に聞いてくれるんです。
- 女子ツアーには3日間競技と4日間競技ありますが、試合運びに違いはありますか?
飯島4日間競技は、やっぱり体力が必要です。順位にもよりますが、朝起きてあと一日頑張らないと、という疲労感を覚えやすい。疲れていても精神面はタフでなければならない。4日間大会ではベテラン選手の優勝が多い。それは配分、体力、慣れ、モチベーション維持、精神力が他の選手とは違うからです。
- これからのツアー出場日程を教えてください。
飯島8月下旬からのニトリレディス、ゴルフ5レディス、日本女子プロゴルフ選手権の3連戦が控えています。女子プロ選手権(兵庫県/チェリーヒルズゴルフクラブ)に向けた練習も本格的にして行こうと思っています。私のプレーを見てくれる人もいるので、試合に出て頑張ろうというモチベ―ションも自然に高まります。「先生、めちゃ下手じゃん!」とは言われたくはありませんしね。でも「試合ってそんなものなのよ」という言い訳はそれなりに準備もしているんですけど(笑)。応援して頂けること自体とても有難いので、その感謝を込めて試合に出場するつもりです。
ツアー開幕戦から最終戦までのゴルフ漬けというツアー生活を14年も続けて来ましたが、トレーニングや練習、ホテル生活は一種の習慣だった。そう思える自分が今、居ます。これまでは体力作り、技術向上に時間を費やしながらも、クラブを選び切れなかった。愕然と差が出る新クラブなら変えられても、そうでない場合はすぐに試合で使う気にはなれませんでした。
でも、今季は違う。シャフト選びの大事さを知ることもできました。時間と気持ちに余裕があるから試せる。すんなりUT、ドライバー、3番ウッドを変えられたのは何年ぶりという感じです。何もかもをリセットできたと強く感じています。ですから、これからは「楽しみたい!」。これまでは結果が出ないと苦しい部分ばかりが多かった。リセットできての余裕を活かし、今後の仕事にもつなげて行きたいです。
- リセットよりもリフレッシュ、そしてリスタートを切る飯島プロの今後の活躍を期待しています。頑張ってください!