2020.06.18
ゴルフクラブを手にし、ボールと対峙する。イメージ通りのグッドショットを打ちたい。打てたらいいな。打てるかな。ショットの結果を考えれば考えるほど体は硬直するばかりで、スムーズにバックスイングへ移行できなくなる。苦手クラブを手にした時ほど、この傾向は強まってしまう。フェアウエイウッドで会心の一打。パー5ホールでツーオンなんて夢のまた夢なのだろうか。
レッスン取材で向江寛尚プロと出逢ってから、ゴルフスイングに対する考え方がガラリと変わった。
「その時の出逢いが その人の人生を 根底から変えることがある」。相田みつを氏はそんな言葉を残しているけれど、まさにそのとおり。ゴルファー人生とは言わないが、ゴルフスイング観が根底から変わってしまったよう気がする。
サンドウェッジのソールを意識して打つようにするだけで、バンカーショットがやさしくなったし、ドライバーショットでもソールをどう向けて振り抜いたならグッドショットを打てるかの理屈が分かった(実践はまだほど遠いけれど)。
うまく打てないと思えば思うほど、ボールにクラブヘッドを当てに行ってしまう。これではスイングではなく、ヒッティング動作だ。ボールは飛ばず、あらぬ方向へ消えてしまう。
「フェアウエイウッドが、特に3番ウッドが苦手なんです。ドライバーの次にロフトは立っているし、しかも、地面のボールを打つクラブでは最も長い。ティーショットで使う時は何とか打てるのですが」。長年抱えていた悩みを向江プロに打ち明けた。
「苦手意識を拭い去るために、フェアウエイウッドというクラブの特性を再確認してみましょう。
クラブフェース面はシャフトの軸(中心)線よりも前に位置していますよね。特にフェース上部のトップラインよりも下部のリーディーングエッジ(歯)が前に出ている形状をしています。ここがポイントです。
クラブをソールして構えに入る際、ヘッドのどの部分を見ていますか。実はターゲット方向に対してトップラインをスクエアにセットするとフェース面は左を向く。ソールの後方は浮いてしまうのです」。3番ウッドのヘッドを手にしながら、向江プロはクラブ特性を解説してくれたのだった。
「クラブのセット法を間違っているから上手く打てないのですか」
「残念ながら、その可能性はあるかも知れませんね。フェース面が左を向き、ソール後方を浮かせた構えからバックスイングしたのでは…」
「アウトサイドに振り上げてしまいます」
「正解です。そしてダウンスイングではリーディングエッジ部分が先に接地するためにダフリやトップのミスショットが飛び出しやすくなるのです。被せてセットしたフェースはダウンスイングで開きやすいのも事実。ボールが捕まらないスライスが顔を出しますよね」と向江プロはミスショット多発のメカニズムを説明してくれた。相変わらず、分かりやすい。
「ダフリ・トップ・スライスのミスを抑えるには、どうスイングすれば良いのでしょうか?」。確信に迫らずにはいられない。
「ソールを滑らせるように振るのが、フェアウエイウッドの使いこなし方だと言われています」。向江プロがニタリと微笑んだ。気づきますよね、という笑みに見えた。
「フェアウエイウッドでも、ソールを意識することが大切なんですね」
「はい、正解です。クラブをソールする際はヘッドのトップラインではなく、フェース面下部のリーディングエッジをスクエアにセットし、ソール後方部分を浮かせない。
正しくセットした後は、自分から最も遠い地点に位置するソールを動かす意識でバックスイングをスタートさせてください。ダウンスイングではソールの左下部(ヒール側)を引き込むように振り下ろします」
「カット打ちのように振り下ろすのですか?」
「安心してください。スライスにはなりません。なぜならシャフトを軸にして回転する性質がヘッドにあり、フェースは自動的に閉じて来る。それにシャフト軸線よりも前方に位置するリーディングエッジが最初にボールコンタクトするのでボールはしっかり捕まります。さらには、ボールコンタクト後にヘッドが接地するのでソールは滑り、フォーロースルーへとスムーズに振り抜けるのです」
シャフト軸線よりもフェース面が前方に位置している。しかもリーディングエッジが最も前にある。フェアウエイウッドのヘッド形状、特性を理解し、ソールを意識してスイングしたなら…苦手意識にサヨナラを告げられそう。とはいえ、まだまだ上達への道のりは遠い。またまた相田みつを氏の名言をお借りしたなら「なやみは つきねんだなあ 生きているん(ゴルファー)だもの」。だから、ゴルフが楽しい、面白い、止められない。