2019.11.28
今季国内女子ツアー第7戦「KKT杯バンテリンレディスオープン」で逆転優勝を果たしたのはチーム・オノフの李知姫だ。ツアー通算勝利数を23勝に伸ばし、永久シードを獲得できる30勝まであと7勝に迫った。その後は「日本タイトル、メジャー奪取」を目標に掲げてツアーに臨んだ。しかし、メジャー戦は、日本女子プロゴルフ選手権、日本女子オープン優勝を逃し、残るはツアー最終戦の公式戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を残すばかりとなった。オノフのクラブを武器に最終戦に照準を絞る李 知姫に近況をインタビューした。(インタビュー日:11月18日)
- 今季は新しいオノフドライバーを携えてツアーに臨み、優勝1回、2位1回を果たす活躍をしています。最初にお聞きしたいのは、ドライバーの選び方です。プロはどんな点をまずチェックするのでしょうか。
李クラブの「顏」です。イメージしたショットラインに対して構えやすいか、構えにくいかですね。すっと構えられるクラブもあれば、ぎこちなさを覚えるクラブもあります。大型ヘッドは構えづらいかも知れないと思っていました。
その点、この新しいオノフ黒ドライバーは、ヘッドの大きさを感じませんでした。思っていたよりも「構えやすい」と感じたのが第一印象でした。ヘッドに厚みがあり、クラウン部分には丸みが施され、ヘッドカラーが黒色なために締まって見えたからかも知れません。
- 試打してみての印象は如何でしたか。
李新しいドライバーをテストする時は、今使っているエースドライバーと同じシャフトを装着してもらってから打つようにしています。異なるシャフトではスイングのタイミングが違って来ますし、飛距離はどうなのか、打球感や打球音の違いもわかりづらくなってしまうからです。
第一印象としては打球感が硬めで、弾道が高めだと感じました。そこで様々なシャフトをテストして自分に最適なシャフトが見つかりました。
- 自分のスイングにベストなセッティングが見つかったのですね。
李はい。弾道がイメージ通りになり、スピン量が抑えられてボールはドロップ気味に飛んでくれる。ジャストミートとミスヒットした際の飛距離や方向安定性の差がほとんどなくなりました。
これまで愛用していたシャフトをドライバーに装着してみて、」エースドライバーとは違う感覚になってことで最適シャフト探しをしたわけですが、意外とすぐには見つかりませんでした(苦笑)。スピン量が違ったり、キャリーが安定しなかったり……。
そこでシャフトの長さを変えて試したりもしました。
2年前はシャフトの長さを45.5インチにしていたので、その長さにしてみたらイメージとスイング感覚が同じになったのです。振りやすくなり、飛距離もショット方向安定性もアップしました(笑)。
- 45.5インチを長いとは感じませんか?
李構えると長いとは感じません。違和感なく構えられますし、打球感も良くなったのは、ヘッドとシャフトの組み合わせがベストに設定できたからだと考えています。
イメージとシャフト感覚が合致したことでイメージどおりにスイングできるため安心して打てます。イメージと現実が同じになることがとても大切だと思います。
- 今季優勝後はメジャー大会制覇を目指していましたよね。
李日本タイトル奪取はできませんでした。日本女子プロゴルフ選手権ではショットもパットも上手く行かず、プレーが大変でした。「こういうこともあるんだな」と、予選落ちをしても、気持ちの切り替えるようにしました。7月頃からショットが良いとパットが入らない。パットが良いとショットは良くない。うまく噛み合わないラウンドが続いていたのですが、それをメジャー大会まで引きずってしまった感じでした。
- でも、予選落ちした日本女子プロゴルフ選手権の次戦デサントレディース東海クラシックでは2位タイの好成績を残しました。気持ちをうまく切り替えられたのですね?
李第2、第3ラウンドでスコアを伸ばし切れずの2位タイでした。気持ちの切り替えというか、単純思考が良い成績をもたらす。ゴルフってそういうスポーツだと思います。前向き、プラス思考であることが大切なんですよね。
例えば、ボギーを打ってしまったら、そのこと自体は引きずらずに次のホールに集中する。その一方で、ボギーの原因が攻略プランなのか、それともショットのミスによるものなのかを追求して結論も導き出しておかなければなりません。気持ちのONとOFFをしっかり行わないと自分本来のプレーができなくなる。基本的には残りホールに集中することが一番の得策だと思います。
- さすが、チームONOFF(オン・オフ)ですね。獲得賞金総額が12億円に近づいていると話題になっていますが如何ですか?
李獲得賞金や成績結果は見ない、調べないタイプなんです(笑)。でも、話題を提供できてうれしいですね。できれば早く達成したいですし、いつも以上に頑張ろう!とモチベーションが高まります。
- 女子ツアーはオープンウイークが少なく、連戦で疲労は溜まっていませんか。
李もしかしたら20代のころが一番体力不足だったかも知れません。日本のツアーに本格参戦して36、37試合もあり、そんなに連戦したことがなかったからです。当時は、とても疲れていて「長くは続けられない、30代で引退かな?」と感じたほどでした。
ツアー連戦に慣れ出し、30代の入ってからは飛距離がアップしましたが、それでも「40代になったら引退かも」とは思っていました。しかし、オノフのクラブのお陰で30代後半に入っても飛距離が落ちないし、体力アップで疲れも溜まらない。それこそ、ここ3、4年はメチャ元気です。
とは言っても、さすがにツアー人生はもう長くはないとも思えるので、一試合一試合に悔いを残さず思い切りプレーしています。
- ツアー最終戦は公式戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップです。メジャー最終戦ですから、目標達成のラストチャンスです。
李ショットとパットをうまく噛み合わせられるように調整し、ベストを尽くします。
- 朗報をぜひ届けてくださいね。今日はありがとうございました。