2022.9.22
今季からチームオノフのメンバーに加わり、08年以来のツアー通算4勝目を目指している矢野東プロ。しかし、思うような成績を挙げられていない。「開眼しては閉眼する。そんな繰り返しです」と話ながらも、その表情は決して暗くはない。落ち込まずにいられる理由がある。大好きな秋、実りの秋を迎えるからだ。
- 日本大学ゴルフ部を経て、プロ転向し、02年に初シードを獲得。05年には念願のツアー初優勝を飾った矢野プロは、ツアー生活が20年を過ぎました。
矢野 いろんな経験をさせて頂きました。今もこれまでにない経験をしている感じですよ。なにしろ7試合も連続して予選落ちを喫しましたからね。あの頃とは、まったく違う…。
- あの頃とは、08年のことでしょうか。肉体改造や体質改善に取り組み、その成果もあって2勝を含む10試合連続トップテン入りの大記録をマークしましたよね。年間獲得賞金は1億円を突破し、ツアー最終戦まで賞金王争いを演じた年です。
矢野 その年は飛び抜けていましたね。かつては「予選落ち」という言葉が頭の中になかった。優勝の二文字だけというと大袈裟ですが、大会4日間プレーするのが当たり前の感覚でした。
- そのプレー感が徐々に変わってしまったのですか。
矢野 椎間板ヘルニアに見舞われたのが、大きかったのは事実ですね。14年には12年間キープして来たシード権を手放すことになってしまいましたし、そのうえ余計な病にも罹ってしまって…。
- それは一体何ですか。
矢野 アプローチイップスです。それまでパットを含めてショートゲームに悩んだり、考えさせられたりしたことがなかった。感覚派だったに理論武装しなければならなくなったのです。
- それでも翌年には再シード入りを果たしましたよね。相当努力したのだと思います。
矢野 決して完治したとは言い切れない状態なんですよ。つい最近ゴルフを始めた4歳の娘の方が上手いと感じる。ミスを恐れていないアプローチショットですけどね(笑)。あんなに無邪気にゴルフを楽しめたらと感じることが少なくありません。
- 椎間板ヘルニアの次には右肘痛を患い、手術の決断を下した。ツアー離脱を強いられましたが、それでも昨年は3度目のシード入りを果たしています。
矢野 自分でも驚いていますよ。21年のツアー秋の陣からゴルフが良くなり、3試合連続のベスト5入りを果たし、最終戦も9位タイでのフィニッシュが出来ましたからね。
- 復活優勝も見えて来たようなゴルフでした。
矢野
そんな流れを今季開幕戦からも続けようとしたのですが、上手く行きませんでした。やっぱりゴルフは開眼と閉眼の繰り返しですね。以前とは違って、伸びシロがタップリの若手選手たちと戦わなければならない。自分がベテラン枠に入ったことを痛感します。昔と違って、今の若手選手は飛んで曲がらない。羨ましいですよ。
僕のトレーニングメニューも変わり、ストレッチ系に多くの時間を費やすようになりました。
- 明るい兆しは何かありますか。
矢野
昨シーズンと同じように、秋を迎えたならゴルフが好転すると信じています。もちろん、その時と同じようなプレーや精神状態に持って行くように努める必要がありますよね。
ゴルフだけに没頭していた20代の頃とは違って、自分のゴルフ以外に子育てがあったり、家族の心配をしたり、これからの人生設計を考え実行に移したりと車に例えるなら4輪それぞれをうまく回してスムーズに運転して行かなければなりません。そんな中で結果も出すというのは、簡単ではないかな…。
でも、10試合連続のベストテン入りや3回のツアー優勝もすべて秋の陣だったんです。自分にとって秋は、最高の結果を出せる、残せる季節だと思う。ツアー前半の結果を一掃できるようにして行きます。期待していてください。
- 活躍を願っています。
矢野 頑張りますよ!